これまでに観た「音楽映画・音楽をテーマにしている映画」を全作品レビューしてます。

次のジャンル毎に記事を分けていて、この記事でまとめてるのは【洋画・フィクション】です。

評価、感想は主観的なものですが、参考にしてもらえたらと思います。
80点以上でも十分おすすめできるレベルです。

Index

音楽映画ランキングを読む前の簡単な前置き

書いてる人間は30代♂。
好きな音楽は邦楽、洋楽問わずロック・ポップス系が多め。

個人的な偏りとしては、漫画チックな演出をする邦画はハマらない傾向があります。(「日々ロック」「うた魂」とか)

これから観る人向けの内容なので、あらすじ・レビューは簡単に。
ネタばれに注意しつつ、音楽映画なので重要じゃない程度なら書いてます。

【殿堂入り作品一覧】音楽映画マイベストランキング【洋画・フィクション編】

殿堂入り「セッション」
「ギター弾きの恋」
「スクール・オブ・ロック」
「ザ・ブルースブラザーズ」
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
「ザ・コミットメンツ」

殿堂入り作品の「あらすじ・点数評価・レビュー」は次の記事を参照ください。

【★5】音楽映画マイベストランキング【洋画・フィクション編】

「あの頃ペニー・レインと」

『あの頃ペニー・レインと』作品情報

キャメロン・クロウ監督の自叙伝的な恋愛青春ドラマ。原題の「Allmost Famous」は直訳すると「ほとんど有名」で、「売れかけているバンド」を意味している。

出演パトリック・フュジット、ビリー・クラダップ、ケイト・ハドソン
監督キャメロン・クロウ
公開2000年
時間123分
音楽ジャンルロック
オススメ度★★★★★
個人評価95点

『あの頃ペニー・レインと』作品内容・あらすじ

音楽ジャーナリストを夢見る、15歳のウィリアムは「ローリング・ストーン」誌の記者に大抜擢。人気がではじめたバンド・スティルウォーターのツアーに同行することに。そこで、バンドのグルーピー、ペニー・レインと出会うが、それは切ない恋の始まりだったー。

『あの頃ペニー・レインと』感想・レビュー

憧れ、恋心、葛藤、迷い、怒り。不確かで純朴な15歳の心情が淀みなく伝わってきて、否応なく心揺さぶられる名作。ウィリアムが恋をした少女は憧れのギタリストに(悪く言うと)もて遊ばれてるグルーピー。もうその設定だけで、モヤモヤ・ソワソワさせられる。でも、ラストの展開(フライト中の事故の”オチ”)では、ある種のカタルシスが味わえる。ハッピーエンドじゃないかもしれないけど、何かスッキリした気分にさせてくれるとても良い終わり方だった。

『ONCE ダブリンの街角で』

『ONCE ダブリンの街角で』作品情報

アイルランド、ダブリンを舞台にストリートシンガーの男と移民の女の淡い恋物語。音楽映画で定評のあるジョン・カーニー監督の初の音楽映画作品。主演の二人は現役のプロのミュージシャンで「ザ・スウェル・シーズン」というユニットのメンバー。

出演グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ
監督・脚本ジョン・カーニー
公開2007年
時間87分
音楽ジャンルフォークロック
オススメ度★★★★★
個人評価90点

『ONCE ダブリンの街角で』作品内容・あらすじ

※本作品ではメインキャストの2人にも役名がないため、「男・女」と記載。

ダブリンの路上でミュージシャン志望の男(グレン・ハンサード)が弾き語りをしていると、足を止めて聴いていた女(マルケタ・イルグロヴァ)から話しかけられる。女はチェコからの移民で、ストリートで花や雑誌を売り生計を立てていた。女も趣味でピアノを弾いており、2人はピアノとギターでセッションし、徐々に交流を深めていく。恋愛に発展する気配を漂わせつつ、男と女、それぞれの「今と切り離せない過去」が足踏みをさせていたー。

『ONCE ダブリンの街角で』感想・レビュー

約90分というコンパクトな尺ながら、濃密な没入感と「あぁ良い映画を観た」という満足感を味わえる。グレンの魂の込もったストレートな歌は心底揺さぶられた。構成や設定、予算の都合もあり大作と呼べるようなスケール感やインパクトはない。でも、そのミニマムな作りが素朴なストーリーやキャラクターとマッチしていて良かった。洋楽SSW・男性SSWが好きな人にもオススメ。

『ブラス!(BRASSED OFF)』

『ブラス!』作品情報

本作はグライムソープ炭鉱の閉鎖が決定した1992年、全英ブラスバンド選手権に出場し優勝したグライムソープ・コリアリー・バンドにまつわる実話が元になっている。原題「BRASSED OFF」は「困惑する、怒る」という意味。バンドメンバーの一人、ユアン・マクレガー(ジャケット右下)は髪がフサフサなので気づきにくいが、「トレインスポッティング」の坊主の主人公の俳優。

出演ピート・ポスルスウェイト、ユアン・マクレガー
監督マーク・ハーマン
公開1996年
時間108分
音楽ジャンルブラスバンド
オススメ度★★★★★
個人評価90点

『ブラス!』作品内容・あらすじ

舞台は1990年代のイギリスの炭鉱の街グリムリー。 炭坑夫達を中心としたブラスバンド「グリムリー・コリアリー・バンド」は全英ブラスバンド選手権に向けてバンドの練習に励んでいた。しかし、炭鉱閉鎖の危機が訪れ、練習に身が入らない毎日。ある日、バンドにグロリアという女性が入団し、バンドマンの一人アンディと恋仲となる。炭鉱は会社と組合の交渉の末、閉鎖が決定。アンディ達はグロリアが閉鎖を決定した経営側の人間だと知ることになるー。

『ブラス!』感想・レビュー

序盤は田舎町のノンビリした雰囲気だったのでぼんやりと観賞。それが炭坑閉鎖の危機が迫ってくると共にストーリーの熱はグングン上昇し、いつのまにか前のめりになっていた。そこから終始ヒリヒリした展開が続くが、最後は胸がすくような大団円を迎える。メンバーの一人アンディ(ユアン・マクレガー)はどこか「スタンドバイミー」のリバー・フェニックスを彷彿とさせる。男らしくて、でもどこかナイーブな瞳の印象が重なる気がした。ちなみに、ピエロのバイトを始めるフィルは若い頃の極楽とんぼ加藤にソックリである。

『はじまりの歌』

『はじまりの歌』作品情報

ニューヨークを舞台にどん底の2人の男女が出会い、もう一度「はじまりの歌」を歌い始める。音楽映画で定評のあるジョン・カーニー監督の2作目の音楽映画作品。主演の恋人役は映画初出演のマルーン5のアダム・レヴィーンが演じている。

出演キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、アダム・レヴィーン
監督・脚本ジョン・カーニー
公開2013年
時間104分
音楽ジャンルロック・ポップス
オススメ度★★★★★
個人評価85点

『はじまりの歌』作品内容・あらすじ

ニューヨークのライブハウス兼バー。演奏を終えたシンガーが友人のグレタ(キーラ・ナイトレイ)をステージに誘うと、彼女は仕方なく重い腰をあげ一曲歌い終える。すると、そこにはステージをキラキラした目で見つめる一人の男が立っていた。男はかつて人気アーティストを世に送り出した音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)。しかし、今ではすっかり落ちぶれて、家族にも会社にも見放される日々。そんなダンだがグレタの歌に一筋の光を感じ、「自分と一緒にレコードを作らないか?」と持ちかける。しかし、彼女もまたすべてを失って、明日を生きる希望を見失っていたー。

『はじまりの歌』感想・レビュー

他のカーニー監督の音楽映画と同じく、演奏シーンとオリジナル曲が素晴らしい。劇中の音楽は、物語の中で聴くとさらにグッと良く聴こえる。音楽も素晴らしいが、それと同じくらい映画の力の大きさを感じる。劇的な要素も派手な演出もないのに、始まりから終わりまで見入ってしまう。カーニー監督の音楽映画は本当に安定感が高い。

蛇足だがこの映画の「当初上映は5館だけだったが口コミで拡大」という触れ込みはちょっと引っかかる。マルーン5のアダム・レヴィーン出演で5館のみというのは理解しにくく、予め予定されてたプロモーションと勘ぐってしまう(前作「once」も同じ触れ込みで、「once」は明らかに低予算作品なので納得)。

『SING STREET 未来へのうた』

『SING STREET 未来へのうた』作品情報

年上のモデルの女性に恋した少年のロックと恋の友情の青春ストーリー。音楽映画で定評のあるジョン・カーニー監督3作目の音楽映画であり、半自伝的作品。

出演フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボイントン、ジャック・レイナー、マーク・マッケンナ
監督・脚本ジョン・カーニー
公開2016年
時間105分
音楽ジャンルブリティッシュロック・ポップス 80年代
オススメ度★★★★★
個人評価85点

『SING STREET 未来へのうた』作品内容・あらすじ

1985年、大不況化のアイルランド・ダブリン。14歳のコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は学校では不良や校長に目をつけられ、家では両親の夫婦喧嘩。うんざりする毎日の中、兄のブレンダン(ジャック・レイナー)と聴く音楽が心の拠り所だった。ある日コナーが下校していると、学校の向かいで佇んでいる美少女、モデルのラフィーナ(ルーシー・ボイントン)に心惹かれる。コナーはラフィーナの気を引くため、存在しない自分のバンドのミュージックビデオに出演してほしいと持ちかける。思いつきの嘘を実現させるため、コナーは急きょ同級生を集め、バンドを結成。しかし、ラフィーナには年上の彼氏がいて、モデルとして成功するためロンドンへ渡ることを夢みていたー。

『SING STREET 未来へのうた』感想・レビュー

ジョン・カーニー監督の音楽映画には曲が生まれる瞬間の感動が描かれているのが特徴。普段当たり前に耳にする歌が、ゼロからソレっぽいものとして立ち現れる感覚。そんなプロセスがリアルに描かれており、本来は作り手側にしかない「手応え」と感動を味わうことができる。劇中流れるのはクラッシュ、ジャム、キュアー、ジョー・ジャクソンといった80年代を彩った名曲たち。コナー達のオリジナル曲含め、往年のブリティッシュサウンドが楽しめる。ラストシーンで流れる主題歌、アダム・レヴィーン(マルーン5)の「GO NOW」もラストを飾るのに相応しい名曲だ。爽やかな余韻を残す青春音楽映画の快作。

『ハイ・フィデリティ(High Fidelity)』

『ハイ・フィデリティ』作品情報

中古レコード店を営む音楽オタク、ロブが失恋をキッカケに自分を見つめ直す。店のバイト2人も音楽バカで、その内の一人は「school of rock」のジャック・ブラック。タイトルの「high fidelity」はオーディオ再生における原音に対する高い忠実度、ハイファイという意味。(これがどうストーリーとどうリンクしてるかはよく分からなかった)

出演 ジョン・キューザック、ジャック・ブラック
監督スティーブン・フリアーズ
公開2000年
時間114分
音楽ジャンルロック
オススメ度★★★★★
個人評価85点

『ハイ・フィデリティ』作品内容・あらすじ

ロブはロック好きがこうじてシカゴで中古レコード店を経営する音楽オタク。ある日、同棲していた恋人ローラに突然出て行かれたロブは、過去の失恋トップ5の恋人達を訪ねることを思い立つ。そして、彼女達に「自分の何がいけなかったのか?」と聞くことで自分を見つめ直していくー。

『ハイ・フィデリティ』感想・レビュー

作中たびたび、主人公のロブが画面越しに自分の心情を観客に語りかけてくる珍しい趣向の作品。最初は面白いなと思ったけど、延々と右往左往する恋愛模様を語り続けられるのは観ていてちょっと疲れた。 終盤ロブが人生の決断を下すのも正にそんな自分自身にうんざりしたからで、そういう意味ではすごく共感できるラストだった。店のアルバイト役は「school of rock」のジャック・ブラック。「school of rock」同様エゴ全開、観ていて清々しいほどの「嫌な音楽オタク」ぶりは最低で最高だった。

【★4】音楽映画マイベストランキング【洋画・フィクション編】

『ソウルガールズ』

『ソウルガールズ』作品情報

1960年代のオーストリアで差別の中、奮闘するソウルグループ「ザ・サファイアズ」の物語。本作は実在したアボリジニのガールズグループ「ザ・サファイアズ」の舞台「The Sapphires」(トニー・ブリグズ作)が原作となっている。※どこまで実話か分からないため、ここでは実話を元にしたフィクションという扱いにしている。

出演クリス・オダウド、デボラ・メイルマン、ジェシカ・マーボイ
監督ウェイン・ブレア
公開2012年
時間121分
音楽ジャンルソウル
オススメ度★★★★☆
個人評価80点

『ソウルガールズ』作品内容・あらすじ

舞台は1968年のオーストラリア。アボリジニの居住区で暮らすゲイル、シンシア、ジュリーの三姉妹と従姉妹のケイはスターを夢見てカントリー・グループを組んでいた。コンテストに出場するが、根強く残るアボリジニへの差別意識から思うような結果を残せない。そんな折、自称ミュージシャンのアイルランド系のデイヴに見出され、ソウルグループ「ザ・サファイアズ」として再出発することに。米軍慰問の仕事を任され、戦地ベトナムに向かうと彼女達の歌は好評を博すようになるがー。

『ソウルガールズ』感想・レビュー

【実話が元】 ×【1960年代のソウルミュージック】 × 【マネージャーに見出されたガールズグループの成功物語】というところから、シュプリームスの「ドリームガールズ」に近い作品。歌も負けず劣らずで、モータウン、ソウル好きとしては音楽的に大満足だった。オーストラリアの映画を観たのはもしかしたら初めて。言葉では表現しにくいけど、アメリカの洋画とはまた違う独特の感覚?リズム?があって新鮮だった。登場人物はよく衝突するし、かなり生々しい戦場のシーンがあるし、音楽以外も刺激的で見応えのある内容になっている。

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