Laika Came Back(車谷浩司)が映画「こはく」で初の映画主題歌を担当しています。
主題歌だけでなく、劇伴という作中の音楽も車谷が作ってるということです。

映画主題歌はLCB初というより、全キャリア通して初めてのこと。
(AIR時代にアメコミ映画『SPAWN』のイメージアーティストになってますが、主題歌とはちょっと違うかと)

この記事では作品情報やLCBが主題歌に採用された経緯、自分の観賞前の所感をまとめました。
しばらく先になりそうですが、観賞したら感想も書きたいと思います。

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「こはく」作品情報・あらすじ

監督は「ゆらり」の横尾初喜(はつき)。
主演は井浦新(あらた)で、兄役を大橋彰(アキラ100%)が演じています。

井浦新の妻役は遠藤久美子で、久しぶりに名前を見たと思ったら、2016年に監督と結婚されてたそうです。
自伝的映画で妻役が本当の妻ってすごいリアル。

あらすじは監督の故郷、長崎県を舞台に自身の体験を元にした半自伝的なストーリー。
幼い頃突然姿を消した父を弟の亮太(井浦新)と兄の章一(大橋彰)が再び探し始める物語です。

映画タイトルの「こはく」とは予告編冒頭の夕焼け空のような「こはく色」のことです。

この夕日のショットがすごく「車谷浩司」で、まずそこに驚きました。
いくら主題歌とはいえ、何で作品とアーティストのテイストがここまでリンクしてるんだろうと。

冒頭の少年二人が立ってるシーンとか、ほぼAIR「サンセット」の夕焼けバージョン。

すぐ後で触れますが、公式サイトでLCBが主題歌に選ばれた経緯が紹介されています。

映画『こはく』 公式サイト

また、公式サイトでは作品作りの背景も詳しく紹介されています。
これはおそらく作品の背景込みで観賞してほしいという想いからでしょう。

確かに作品に込めた想いや作中の台詞が実際にあったものだとわかると、ストーリーの重みや深みが断然増す気がします。

横尾初喜監督が「こはく」主題歌をLaika Came Backに依頼した経緯

横尾初喜監督は高校時代から車谷浩司(当時はAIR)の大ファンだったそうです。
それを知ると作品の雰囲気が異様にリンクしてるのも納得です。

横尾監督は2015年頃、栃木県(車谷の出身)の宇都宮のライブに足を運び、直接「いつか映画の主題歌を」と打診。
「こはく」制作時に再度依頼し、車谷に快諾してもらったということです。

また、最初は2nd「Confirms」の「逆光」を使用する予定で、最終的に書き下ろしの新曲「こはく」を採用することになったようです。

逆光
Laika Came Back
2014/04/26

こはく
Laika Came Back
2019/06/19

夕日のシーンで自分はAIRの「sunset」が思い浮かびましたが、確かに「逆光」のアートワークの方がより近いですね。
近いというか、きっと「逆光」をイメージして撮影されたものなんだと思います。

「逆光」 Laica Came Back

[出典] 「逆光」 music | Laika Came Back

車谷は作曲の経緯についてコメントしていて、その背景も映画とリンクしていて興味深いです。
以下、車谷のコメントの一部を引用。

“父さんの曲を作って欲しい。” 久しぶりに帰省し、ふたりでテーブルを囲んでいた時のこと。人生の総仕上げ、第三の人生を模索し始めた、普段自分の願望や思いをあまり口にしない父が、ぽつりと言いました。

“いいよ、やってみる。” そう答えると、次の瞬間から頭の中で音が鳴り始めました。歌詞は後とし、曲自体はすぐに完成しました。するとその数日後に、今回の “こはく” のお話を頂きました。映画は父と子の話であること。家族の話であること。

数日前の僕と父の出来事から、不思議にも、まるでお互いが引き寄せ合ったかのように、瑞々しく届いたお話でした。図らずも自分の父の為に書き上げたこのメロディーが、“こはく” の主題歌となりました。”

偶然にも曲の「こはく」も父親との関係から生まれたという。

さらに横尾監督がこのエピソードを制作後に知ったというのも、なんだかスゴイ話です。
(↓「そんなこと」とは作曲の経緯のこと)

なにかと運命的な結びつきを感じる映画です。

「こはく」観賞前のもろもろの感想

すでに所感を交えつつ書いてきましたが、その他いくつか。

キャストについて

主演の2人はそれぞれyoutubeにコメントをアップしてます。

映画『こはく』井浦新さんメッセージ
映画『こはく』大橋彰(アキラ100%)さんメッセージ

井浦新

1990年代に出てきた頃は「REVOLVER」という裏原ブランドのデザイナーというイメージでしたが、もう完全に普通の俳優として認知されてる感じですね。

以前の名義はARATAで、初めて演技を見たのは松本大洋原作の「ピンポン」。
この時、松本大洋か脚本の宮藤官九郎が「ARATAが出演してくれるかどうか心配だった」という旨のコメントをしてたのを覚えてます。

それくらい、おいそれと表舞台には出てこない印象だったので、今の露出の多さと活躍ぶりは以前からは想像できないほど。
何気なく手に取った作品にもよく出演されててどれも良い演技をしてます。

【追記】
自分がARATAを知った頃の雑誌(「SMART」 1999年12月号)があったので、貼っておきます。

ARATA 「smart」1999年12月号

[出典] SMART 1999年12月号。
著名人の「CDベスト10」が特集されている号で確かそれ目的で購入。

ARATAはRage Against the Machineの大ファン(下の右から2つ目のアルバム)でドレッドヘアにしてますが、99年頃は車谷もレイジの影響が色濃く表れてた時期。
全然接点はないと思ってた2人ですが、ふとそんな共通点に気づきました。

大橋彰(アキラ100%)

最初ポスター見た時、服着てるのでアキラ100%と気づきませんでした。

顔もオーラも俳優そのものですし。
演技もちょっとしか観てないけど、ハッとするほど堂に入ってる。

「何でこんな演技できるんだろう?」と思ったら、元々俳優志望だったようですね。
今後絶対に俳優の仕事が増える気がします。

監督と映画と主題歌の関係について

「こはく」は元々ファンとアーティストの共作だからこそ生まれた空気感の調和を感じます。

はたから見ても羨ましいほど幸運な関係性だなと思います。
フォン冥利に尽きるし、アーティスト冥利にも尽きるというか。

少し前に公開された「チワワちゃん」という映画でも同じことを思いました。
この映画の主題歌「僕らの時代」(Have a nice day! )も異様なほど作品にハマってたんですが、これも採用の経緯は監督の二宮健が元々ハバナイのファンだったことがキッカケ。

感性が近いもの同士だと単なるタイアップでは生まれない妙味が生まれるんだなと改めて感じました。

さいごに

Laika Came Back初の映画主題歌と作品の紹介でした。

映画館には滅多に行かない人間なので、DVDリリースまでしばらく待つことになりそうですが。
観ないという選択肢はないので、観賞したらまた感想を書きたいと思います。

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