「ELECTRO SWING」

2000年代に欧州を中心に流行したElectro Swing(エレクトロ・スウィング)。
自分がESを知ったのは2016年頃で、一過性の流行りという以上に一つのシーンとして定着・拡大し続けていると思います。

この記事では、ESの魅力やオススメのアーティストを中心にエレクトロスウィングについて紹介します。

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[画像引用元] 「ELECTRO SWING (Amazon)」

Electro Swing(エレクトロ・スウィング)とは?

世界初のElectro Swing専門サイト「Electro Swing Thing」では次のように説明されています。
(つたない訳で発祥の流れもだいぶ端折ってます。)

エレクトロスウィングはハウス、ヒップホップ、ドラムンベース、EDMと古典的あるいはモダンなSwing、Jazzのエッセンスを組み合わせた音楽ジャンルです。Parov Stelar、Caravan Palace、Caro Emerald、Jamie Berry、Alice Francis、Bart&Baker、ProleteR、Peggy Suave、Swing Republic、Waldeck、Wolfgang Lohrらがこのジャンルの代表的なアーティストです。

エレクトロスウィングを正確に定義することは誰にもできません。それは本当に個人的かつ集団的な体験であり、多くの人に好まれているものです。エレクトロスウィングは人々を集め、楽しませ、日常の問題を忘れさせます。そこにルールはなく、ただ楽しんで、盛り上がって、夜更けまで踊るだけです。

「Electro Swing Thing」は日本では見当たらないほどESの情報が豊富で、youtubeやspotifyでプレイリストも公開してます。

エレクトロ・スウィングの4大要素と4つの魅力

エレクトロスウィングは上で書いたように音楽ジャンルの一つ。
と、同時に「HIP HOPの4大要素」と同じように複数の要素を内包した一つのカルチャーと捉えるとしっくりくるような気がします。

エレクトロスウィングにも通じるHIP HOPの4大要素というのは次の4つ。

  • RAP(ES→歌)
  • DJ
  • ブレイクダンス(ES→neo swing etc)
  • グラフィティ(ES→広くアートワーク・ファッション含む)

そんな4大要素を踏まえつつ、自分が考えるエレクトロスウィングの魅力をまとめると次の4つ。

① レトロフューチャーなビジュアルの格好良さ

エレクトロスウィングのビジュアル的なイメージの特徴を捉えたMVの一つが、Caravan Palaceの「Suzy」。

ブリキのロボットに宇宙船。歯車、蓄音機、メカメカしい小物にネオン管。
他にもヴィンテージ感のあるモチーフが満載で、音楽性に通じるこのレトロフューチャーなビジュアルがエレクトロスイングの特徴のひとつ。

この世界観は「スチームパンク」というジャンルにも共通してます。
スチームパンクはSFジャンルの一つですが、そういった嗜好を元にしたスタイル・カルチャー全般を指していて、エレクトロスウィングも一種のスチームパンクと言えそうです。

[出典] 「スチームパンク東方研究所 未来懐古的造形世界」(Amazon)
スチームパンク専門誌が刊行されていたり、アニメだと「スチームボーイ」や「ハウルの動く城」がスチームパンク物として有名。

② 楽曲のノリの良さと中毒性の高さ

音楽性としてはスイングジャズの軽快なメロディやリズムをエレクトロな打ち込みサウンドでさらにパワーアップさせているのが魅力。
もちろんムードのある曲も多いけど、一番の魅力は(個人的に)ノリの良さ。

エレクトロスウィングが「踊れるジャズ」と形容される所以です。

中毒性に関しては同じフレーズのリフレインもESの特徴。
その辺がエレクトロミュージックに通じる特性で、高い中毒性をもたらしてるポイントかと思います。

またCaravan Palaceの曲で例を挙げると「Brotherswing」。

③ 流れるような軽快なダンス

ESの曲でダンスしている動画がyoutubeにたくさん上がってます。
代表格はドイツのSven Ottenで、ダンサー名は「JSM(JustSomeMotion)」。

他にも色んなダンサーの動画を観ましたが、Sven Ottenは別格。
この人の半径数メートルは地球の重力の圏外かと錯覚するような軽やかさ。

このダンスはneo swingなど様々なスタイルを元に独自にアレンジしたものだそうです。

「Lost in the Rhythm」Jamie Berry feat. Octavia Rose

④ 良質なDJ play・Mix

日本のES DJにOnnojiという方いて、Sound Cloud、MixcloudといったサービスにESのMixを上げています。
また、イベントでのDJなど日本にESを広めるべく幅広く活動されてます。

この方のMixで初めてESのMixを聴いたんですが、これがめちゃくちゃ良くて。

ESのコンピやプレイリストはたぶん30以上は聴いてますが、一聴してダントツで気に入りました。
その理由は選曲はもちろん、コンピと比べてテンションや繋ぎ方に統一感があるのが大きそうです。
BGMとしても最適。

エレクトロスウィング 特にオススメのアーティスト5組

特にオススメなアーティストを先に5組、その後5組の計10組紹介します。

Caravan Palace(キャラバン・パレス)

すでに2曲取り上げてるフランスの8人組エレクトロ・スイングバンド。

2008年に1stアルバム「Caravan Palace」でデビュー。
本国フランスの他、各国のチャートにも名前が上がり、日本のサイトでもよく名前を見かけるエレクトロスウィングを代表するアーティストです。

オススメ動画は沢山あるんですが、最新のPV(2019.08)が日本が舞台となっているので「Plume」を。
他にもボーカル、Zoé Colotisがキュートなダンスを見せるライブ動画も必見です。

Parov Stelar(パロフ・ステラー)

オーストリアのDJ。Parov Stelarはアーティスト名で本名はMarcus Füreder。

2000年以前から活動しており、エレクトロスウィングのパイオニアとして挙げられるアーティストの一人。
資質や全体的な作品のクオリティでいうと、今回取り上げているアーティストの中でも群を抜いていて、ESというジャンルを超えてると感じます。

2010年リリースの代表曲のひとつ、「Booty Swing」。

TAPE FIVE(テイプ・ファイブ)

ドイツのプロデューサー、Martin Strathausenによるユニット・プロジェクトで、2005年に1stアルバム「Swingfood Mood」をリリース。
Parov Stelarと同じく、ボーカルは作品によって異なります。

TAPE FIVEはESコンピの収録数が最上位のアーティストで、Remixでもよく名前を見かけます。
視聴回数から言って一番の代表曲は「Bad Boy Good Man」。

Stereo Swing

ハンガリー初のエレクトロスウィングバンド。

Stereo Swingはおそらく10組の中で最も知名度は低めです。
それもあって個人的に一番強くオススメしたいバンド。

ボーカル、Szűcs Gabiのハスキーで渋い声質がジャンル的にハマってます。

以前はSzűcs Gabiはゲスト扱い(feat表記)でしたが、2019年の「Bang Bang」ではfeat表記がないので正式メンバーになったようです。

Cut Capers(カット・ケイパーズ)

イギリス出身の9人編成バンドで、2012年にシングル「THE PINSTRIPE EP」でデビュー。

女性シンガー+男性2MCというヒップホップ色の強い音楽性が特徴。
そして、「Cut Capers(跳ね回る・ふざけ散らす)」というバンド名通り、MVがとにかくハイテンションで楽しそう。

特にエレクトロ要素がなくても「エレクトロスウィング」を感じるのはこのノリの良さ故でしょう。

「Say What」は2nd「メトロポリス(2019)」日本盤のボーナストラックとしても収録されてる代表曲。

エレクトロスウィング・オススメのアーティスト5組

シーンを代表するシンガー3人とバンド2組です。

Caro Emerald(カロ・エメラルド)

オランダ、アムステルダム出身のシンガーで、2009年に「Back It Up」でデビュー。
1stアルバム「Deleted Scenes from the Cutting Room Floor」(2010)はオランダで30週連続チャート一位を記録します。

2nd「The Shocking Miss Emerald」(2013)で日本デビューを果たし、来日公演も行ってます。

Alice Francis

アメリカの「ソウルの女王」はアレサ・フランクリンで、こちらはアリス・フランシス。
思い出す時にいつもつまづきます。

ポーランド出身のシンガーで、デビュー・アルバムは2013年の「St. James Ballroom」。
「Shoot Him Down!」のようなレトロなアニメーションもESとマッチしてます。

Dimie Cat

フランス出身のシンガー。2009年1stアルバム「Pin Me Up」でデビュー。

Dimie Catのボーカルはどこかファンタジックでディズニーっぽい雰囲気があります。
実際「ピノキオ」や「眠れぬ森の美女」などディズニーのテーマソングのカバー集を出していて、すごくハマってます。

Swingrowers(スウィングロワーズ)

DJ&プロデューサーのロベルト・コスタ率いる、イタリア・シチリア出身の4人編成バンド。2012年「Swingrowers」でデビュー。

この記事で取り上げたアーティストは特にカラーが際立ってるものばかり。
その中では個性は控え目だけど、最もポップで洗練されていて、色んなシーンで聴きやすいです。

2nd「REMOTE(2015)」収録の「That’s Right!」。

Electric Swing Circus

イングランド、バーミンガム出身の7人編成バンド。
デビューアルバムは2011年の「Penniless Optimist」 。

Vicki OliviaとLaura Oのツインボーカルがパワフルで、MVもインパクトがあってパンチが効いてます。
2016年リリースの「EMPIRES」は異様に中毒性が高く、特にサビが耳に残ります。

さいごに

エレクトロスウィングの魅力やオススメアーティストの紹介でした。

プロフィールは記事作成にあたって確認したものが多いんですが、本当にここ10年、20年のムーブメントで「欧州で大人気」というのが伝わります。
これだけ世界各国のアーティストがいる中、アメリカ勢が一組もいないのは珍しい。

そんな中、日本でもエレクトロスウィングの話題を見かけるようになったのでESファンの方はぜひ関連記事↓もチェックしてみてください。

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