ピエール瀧がコカインの使用で逮捕され、少なくともしばらくは表舞台から消えることになった。

色々思うところはあるけれど、先月2/2に放送したNHKの「SONGS」で印象的だった内容を書き留めておきたい。
(さっきSONGSのサイトのアーカイブ見たらすでに電気が出演した記録すら削除済みで、そこまでするんだとちょっと驚いた)

番組のテーマは「電気グルーヴ×30年愛される理由」。
内容は電気のライブや2人への質問、またMC 大泉洋とゲストの宮藤官九郎、高橋幸宏のコメントで構成されていた。

その中で一番印象的だったのが大泉洋と宮藤官九郎が「俳優としての瀧の凄さ」について、同じことを言っていたこと

これは自分も感じていたことで、他にも同じような印象を持ってる人は少なくないかと思う。

宮藤官九郎と大泉洋が指摘した俳優、ピエール瀧の凄さ

以下、2人のコメントの引用(太字引用者)。

【大泉洋】

我々から見るともう勝てねえっていう。
役者を目指している人からはなかなか出せないお芝居っていうか。

役者としてはこれ以上ピエール瀧に暴れられるのはねえ
あまり好ましいことではないというね。

後半はもちろんただの冗談だけど、はからずも願いが叶ってしまった。

【宮藤官九郎】

ずっと俳優を志してきた人には出せないリアリティーがやっぱあるなと思ってて
僕の作品でいうと「あまちゃん」とか「少年メリケンサック」とか
すごく許容範囲が広い役は今まで見てたんですけど

今回「いだてん」の辛作さんていう 足袋職人の役なんですけど
あれ完全に実在する人なんですよね

どんな感じでやるのかな?と思ったら
堂に入ってました
すげぇなぁと思いました。

演技っていうか、そこに「居る」みたいな感じが
電気グルーブでやってる時の瀧さんもそうなんですけど
しっくりきてる

あのなんか堂々とした感じは 普通に演技している人には
なかなか出せないんじゃないかなと思いますね

ピエール瀧の演技は「演技を志してきた人、勉強してきた人にはできない演技」
2人とも瀧について一番にそう指摘していたのが印象的だった。

そういう演技は他の人が真似しようと思ってもできないし、きっと、というか絶対瀧自身も狙って出してるわけではないだろう。

番組中でも取り上げられていたが、瀧が死刑囚の暴力団組長を演じた「凶悪」は凄かった。
複数の映画賞で助演男優賞を受賞したのも納得の存在感。

2人が言うように、いわゆる「迫真の演技」とはまた違う、存在としてのリアルさ、凄み

本人すら自覚してない何かが上手く作用して滲み出る独特の空気感が、瀧の「演技」を唯一無二のものにしている。

(「凶悪」で共演してるリリー・フランキーも瀧と同じように「俳優にはできない演技」だと思う)

そういう意味で業界全体で考えると、ミュージシャン瀧より、俳優瀧がいなくなった損失は大きいと言えるかもしれない。

さいごに

今後どうなるかはわからないけど、おそらくミュージシャンとしての復帰より、俳優としての復帰の方が時間がかかりそうだ。

いつかまた俳優には出来ない瀧の演技が観られる日を気長に待ちたいと思う。