【誤解してる人が大半?】 Appleのロゴの由来

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他人事のようなタイトルだけど、自分が最近まで誤解してました。

Webデザイナーという仕事柄、必需品と言えるApple製品のロゴ。

そのロゴの意味を勘違いしていたのは結構ショックでした。

誤解してる人は少なくない気がするんですが、どうでしょうか。
(全く割合が予想つかない)

下で紹介するロゴ制作者のインタビューを知らない人は、誤解してる可能性が高いので、ピンとこない人は確認してみてください。

誤解していたAppleのロゴの由来

Appleのロゴは言わずもがな、あのリンゴをかじったマーク。
今やデザイン業界と言わず一般的にも浸透しているマークです。

そのロゴのモチーフは、
『旧約聖書のアダムとイブの禁断の果実』
…だとずっと(ここ4、5年)思っていました。

『禁断の果実』の逸話は、簡単にいうと次のようなもの。

神に作られた最初の人類であるアダムとイブは、食べることを禁じられていた禁断の果実(善悪の知識の木の実)を蛇にかどかわされて食べてしまう。

それによって、人間は神のように知能をもち、怒った神に楽園を追放されてしまう。

Appleのかじられたリンゴはその逸話を表している、というのが誤解していた由来。

イメージとしても、『コンピューター』が知能の象徴ともとれるし、禁じられた実に手を出してまで獲得するというのも、挑戦的で攻撃的なApple(ジョブズ)のイメージとも重なります。

単純に見た目的にも秀逸だけど、そういう由来のイメージとも相まって『カッコイイな』と感じてました。

本当のAppleのロゴの由来

一番はじめのリンゴのロゴはカラフルな縦縞模様。
作られたのは1976年。

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このロゴの制作者はRob Janoff(ロブ・ヤノフ)というデザイナー(これも初耳)で、その方が2011年にインタビューでロゴの由来を明かしたそうです。

英語の元記事。
『An interview with Rob Janoff, designer of the Apple logo』

翻訳して紹介している日本語の記事。
『Appleロゴのデザイナーが真実を語る』

翻訳読んでもちょっと判然としない部分もありますが、少なくとも次の箇所で『アダムとイブー禁断の果実』説をハッキリ否定してます。

The religious myths are just that too—there’s no ‘Eve and Garden of Eden’ and ‘bite from the fruit of knowledge’ symbolism!

初期の6色の縦縞の色も特別な意味はなく、かじってるのも『リンゴをかじるという一般的な行為から』で特に意味はない、とのこと。

I’m sorry to say, had no particular grand plan other than I liked them that way.

The bite is really about scale and the common experience of biting into an apple.

かじってるのは『さくらんぼと間違えないように』という説もWikipediaのRob Janoffの項目に載ってます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Rob_Janoff

『かじられてるのは、「かじる(bite)」と「容量の単位(byte)」をかけている』という説もあったようですが、それはこのインタビューで否定してます。
そもそも「容量の単位(byte)」を知らなかったそうです。

Appleのリンゴはニュートンの故事がモチーフ

ロブ・ヤノフのサイトではリニューアルしていく過程のロゴが載ってます。
THE APPLE LOGO STORY | Rob Janoff

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これも知らなかったんですが、一番左のロゴがAppleの創業時の最初のロゴ。デザイナーは創業者の一人、ロナルド・ウェイン。
ロゴというか絵で、ニュートンがリンゴの木に寄りかかって本を読んでいるところをモチーフにしたものらしいです。

『リンゴが落ちるのを見て万有引力を思いついた』という『ニュートンのリンゴ』も有名な逸話ですね。

しかしこれでは堅苦しいと考えたスティーブ・ジョブズは、レジス・マッケンナ社のアートディレクター ロブ・ヤノフに新しいロゴマークのデザインを依頼する。

最初がニュートンのりんごという経緯から、今のロゴも『ニュートンのリンゴ』がモチーフだと思われます。

その辺の確認はできてないですが、さすがに全く無関係なのに同じリンゴということはないでしょうね…。

【追記 16/09/21】
タイムリーなことに、同じトピックが『LOGO DESIGN LOVE』という書籍で有名なブログでも取り上げられてました。

全部ちゃんと読めてないですが、やはり『みんながするようにリンゴにかじった』『他の丸い果物と間違えないように』という内容ではあるようです。

【追記 16/10/4】
『Rob Janoff on his logo for Apple』の翻訳紹介記事。

本当の由来を知って、一デザイナーとして思うこと

というわけで、Appleのロゴは禁断の果実とは無関係でした。

その上で一応デザイナーの端くれとして、いくつか疑問や違和感を覚えます。

一つは、『誤解を招くロゴは、ロゴとしてどうなんだ?』ということ。
特にアメリカで『かじったリンゴ』といったら、普通は『禁断の果実』を連想します。

由来について誤解を招きそうという事に関しては、どう考えていたんだろう?と疑問に思います。

もう一つは、色やかじった跡についての『特に意味はない』というコメントについて。

デザインは意味や根拠、コンセプトを基に行うものだと一番最初に学びます。
もう耳にも目にもタコができる位、言われるし目にします。

そのデザイン界の頂点にいるAppleの象徴が、『特に意味はない。色は自分の気に入った色』というデザイナーにとって絶対NGなスタンスで生まれたというのは、『なんだかな…』という気分になります。

もちろん初心者の『なんとなく』とベテランの『なんとなく』は似て非なるもの。

ベテランのそれは言葉にしきれない、それまでの経験や試行錯誤を下敷きにした『なんとなく』だったりするので文字通りには受けられないんですが。

実際、これだけ広く長く受け入れられてるので、それだけで問答無用で良いロゴであることに変わりはないと思います。

さいごに

制作者自身が由来についての誤解を『神話』と表現していたので、誤解していた人も沢山いたということでしょう。

ちなみに自分が今回改めて、ロゴの由来を改めて調べたキッカケは、たまたま人に由来を説明したからでした。

その後『一応確認しておくか』と調べたら、人に教えといて違ったという恥ずかしいパターンです…。

ただ、自分もどこかで誰かに聞いたハズと記憶を辿ったら、『日本のロゴ』という本の中のかの有名なアートディレクターのインタビューでした。

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『日本のロゴ―企業・美術館・博物館・老舗…シンボルマークとしての由来と変遷』

2008年出版なので仕方ないかもですが(ロブ・ヤノフの記事は2011年)

一流のデザイナーや編集者、校正を通しても見抜けないって、やっぱり相当誤解されてたんでしょうね。

それにしても、なぜ1976年に作られて、2011年まで誤解が広まったまま放置してたのか?
色々疑問は尽きないです。