
青春パンク・メロコアブームは2000年頃の数年間、主に10代・20代を中心に起こったロックムーブメント。
自分も直撃した世代なので、当時の状況を振り返りつつ、代表バンドとオススメの曲を紹介します。
ちなみにこれ書く前に、wikipediaの「青春パンク」を見てみたら、自分の認識とかなり違う部分があって驚きました…。
大前提として「ジャンル分け」はそれほど重要ではないですが。
この記事も一つの参考にしてもらえたらと思います。
青春パンク・メロコア含め、当時のロックシーン全体の状況にも触れてます。
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青春パンク・メロコアブームについて
説明も少し長くなったので、「オススメの10曲」だけでいいと言う人は読み飛ばしてください。
青春パンクブームと代表的バンド
青春パンクは名前の通り、青春や思春期をテーマにしたような歌詞をキャッチーなパンクサウンドに乗せて歌ってるのが特徴。
大元のルーツは1990年前後に活躍したブルーハーツ。
そもそも若者に向けた愚直で温かいメッセージ性をロックに取り入れたハシリがブルハなので。
そういう意味では青春パンクバンドはほぼ全部ブルハの影響下にあると言っても過言ではありません。
当時、CDショップとかの紹介文でも「ブルハ好きにおすすめ」や「ブルハのフォロワー」といったコピーをよく見かけました。
- GOING STEADY
- ガガガSP
- モンゴル800
- STANCE PUNKS
- 175R
- 太陽族
他にもHIGHWAY61、THE LILAC、THE STAND UP、マスミサイル、ジャパハリネット、向風など。
本当に頭一つ抜けていたのは「ゴイステ、モンパチ、175R」くらいじゃないでしょうか。
メロコアブームと代表的バンド
メロコアは英語歌詞と青春パンクと同様シンプルでキャッチーな音楽性が特徴。
青春パンクよりもメロディ重視で「疾走感」というキーワードも浮かびます。
ブームの起点はハイスタンダードで、大元のルーツはハイスタも影響を受けたSNUFFやGREEN DAYといった米英のメロコアバンドと言えます。
- HI-STANDARD
- ELLEGARDEN
- HUSKING BEE
- BEAT CRUSADERS
- HAWAIIAN6
他にも沢山いたけど、正直あまり印象に残っていないです…。
ロックシーン全体で本当に大きなインパクトを与えたのはハイスタとDragon Ashの2組だけだったと思います。
ブームの渦中にいたけどジャンル的に青春パンク・メロコアとは言えないバンド
「青春パンク・メロコア」というジャンルに入れるのは難しそうだけど、近いシーンにいたバンドもいます。
- ブラフマン
- B-DASH
- eastern youth
- super stupid/LOW IQ 01
これらのバンドもファン層はかぶってて当時のバンドブームの中にいたと思います。
その他マイナーなシーンにいたロックバンド全般だいたいこの括りに入るイメージですね。
中堅〜ベテランの少年ナイフ、ロリータ18号、怒髪天、ジッタリンジンとか。
あとナンバガやMAD CAPSULE MARKETSもしいて言えばこのカテゴリーかな。
その他の近いシーンにいたロックバンド・ジャンル
「青春パンク・メロコア」と近いファン層で、当時のロックシーンのジャンルだと2つ浮かびます。
一つはスカパンク。
青春パンク・メロコアと比べると存在感は薄めでした。
- SNAIL RAMP
- KEMURI
- POTSHOT
- GELUGUGU
- RUDEBONES
- ドミノ88
2つ目はミクスチャーロック。
Dragon Ashを筆頭に、ラップとロックを融合したバンドも出てきました。
- Dragon Ash
- 山嵐
- BACK DROP BOMB
- RIZE
- smorgas
- マキシマム ザ ホルモン
- 麻波25
ホルモンは当時のライブも行って盛り上がってましたが、まさかここまでのバンドになるとは予想外過ぎました。
ここに挙げてる全バンドの中でも、当時と比べて一番の出世頭はホルモンでしょう。
青春パンク・メロコアブームの代表曲・オススメの10曲
青春パンクを中心に全10曲ピックアップしました。
【1】青春パンク5組
【2】メロコア2組
【3】その他ロック2曲
【4】スカ2曲
なんで青春パンク中心かと言うと、単純に青春パンクの方が好きなバンドが多かったので。
メロコアはGreen DayやOffspringなど海外勢をよく聴いてました。
【1】GOING STEADY
ボーカルは現 銀杏BOYZの峯田和伸です(1996 – 2003)。
今思えばアルバムはたった2枚だけですが、この2枚で確固とした存在感を放ってました。
(「BOYS&GIRLS」(1999)、「さくらの唄」(2001))
青さや衝動という「青春パンク」らしさを一番晒け出して一番様になってたのはゴイステの峯田だったと思います。
ブームの最中に初主演した映画「アイデン&ティティ」(2003)も最高にハマってました。
実際売れてるのに、売れてないバンドマン役がこれ程ハマるのって峯田マジックとしか言えません。
【1】ガガガSP
コザック前田がボーカルを務めるバンドで、フォークとパンクを融合させた音楽性が特徴。(1997 -)
インディーズの「京子ちゃん」(2000)でデビュー、2002年にはソニーからメジャーデビューします。
2000年に「線香花火」を聴いた時はフォークテイストなパンクが衝撃的でよくライブにも行ってました。
当時は観客は数えるほどしかいなくて(ワンマンではなくバンド5組で観客数十人とか)、コザック前田はフロアの真ん中で歌ってたりしました。
その時歌ってた「線香花火」が今youtubeで200万回再生超えてるのはすごく感慨深いです。
【1】モンゴル800
上江洌清作(うえず きよさく)がボーカルを務める沖縄出身のバンド(1998 – )。
モンパチはなんといっても「あなたに」「小さな恋の歌」を収録した「MESSAGE」(2001)が大名盤。
オリコン1位を取ってもテレビで一切見かけないので、この系統のバンドはそういうものなんだと思ってました。
当時から一番一般的にも聴かれてたのはモンパチだったと思います。
それにしてもapple musicの「TOP100 JAPAN」に「小さな恋の歌」が今だにランクインしてるのを最近知って衝撃でした。
【1】STANCE PUNKS
TSURUがボーカルを務めるパンクバンド(2001年 – )
ブルハの影響を受けた青春パンクは沢山いる中で、最も直系の存在を挙げるとしたらSTANCE PUNKS。
メッセージ性や歌い方も一番近い。
スタンスパンクスはライブで未発表曲を歌ってたのを聴いた事あるんですが、最初普通にブルハの曲かと思ったくらいでした。
それは発表はできないだろう、と思った記憶があります。
【1】HIGHWAY61
ボーカル堀井与志郎を中心とした北海道出身のバンド(2000 – 2007、2010 – )。
ハイウェイ61はパンクの他にR&Bやソウルといったブラックミュージックの影響を色濃く感じました。
ハイウェイ61はそれほど跳ねなかったけど、一番もっと売れても良かったと思うバンドです。
ライブも自分が行ったやつは結構スカスカで。
そんなフロアに堀井与志郎がダイブしてきて、そのままドリンクバーまでみんなで担いでいって飲み物もらってからステージに戻したというよく分からない思い出があります。
「サヨナラの名場面」(2005)という曲が中島みゆきの「ファイト」のパクリで販売停止になったのも残念でした。
【2】HI-STANDARD
言わずと知れた難波章浩(vo)、横山健(gt)、恒岡章(dr)の3ピースバンド(1991 – )。
3枚目までのアルバムでも着実にシーンを盛り上げていましたが、4th「MAKING THE ROAD」(1999)が決定的にシーンを塗り替えました。
「MAKING THE ROAD」リリース時にCDショップで大量のCDが並べられてた光景は今だに覚えてます。
当時パンクは今より断然アングラなジャンルで、その光景のインパクトは今ではなかなか伝わらないかもしれません。
が、ハイスタは翌年のシングル「Love Is A Battlefield」リリース後、いつの間にかフェイドアウト(2011年に復活)。
あのまま活発に活動し続けていたら、一過性のメロコアブームもまた違った流れになってたかもしれません。
【2】ELLEGARDEN
現HIATUS・MONOEYESの細美 武士がボーカルを務めるバンド(1998 – 2008、2018 -)。
エルレがハッキリ頭角を表したのは4th「RIOT ON THE GRILL」(2005)。
ハイスタが鳴りを潜めてる中、極上のメロディが光るエルレの登場は嬉しいニュースでした。
日本語歌詞と流暢な英語歌詞が自然に混在してるアルバムもすごく新鮮で。
個人的にハイスタと近い路線で、同格と言ってもいい存在感を放っていたのはエルレだけでした。
【3】BRAHMAN
TOSHI-LOWがボーカルを務めるハードコア・パンクバンド(1995年 – )。
意味深長な歌詞とロックと民族音楽を融合させた音楽性で、似たようなバンドが溢れてたシーンの中で異彩を放ってました。
2015年公開のドキュメンタリー「映画 ブラフマン」でも、当時はまだメンバーじゃなかったギターのコウキも同じような印象を語ってます。
99年にメジャーデビューしますが、その前の1st「A MAN OF THE WORLD」(1998)で既に注目を集めてました。
あと、裏原ブランドのARATAと親交があって、ロックっぽくない裏原系のファッションをしてるのも特徴でした。
【3】B-DASH
GONGON(菅原勇太)がボーカルを務める3ピースロックバンド (1997 – 2017)。
B-DASHもメッセージ性のあるバンドが多い中、テキトーな言葉を詰め合わせただけの歌詞で異色の存在でした。
ビジュアルは普通の中学生みたいで。
どんな型にもハマってない独特な存在感を放ってました。
「平和島」のように青春パンクみたいなストレートな歌詞の曲もあったりします。
【4】SNAIL RAMP
TAKEMURAがボーカルを務めるスカパンク、メロコアバンド(1995 – 2002、2004 – 2015)。
スネイルランプはシングル「MIND YOUR STEP! / B・M・W(1999)」と3rd album「FRESH BRASH OLD MAN」(2000)がセールス的に成功し、一気にシーンの注目株となります。
特に「MIND YOUR STEP!」はスカのリズムでスマッシュヒットしたかなり珍しいケースだと思います。
あとはジッタリンジンの「プレゼント」くらいしか思い浮かばないですね。
スカパンクもシーンとして盛り上がった感はありましたが、目立った存在はSNAIL RAMPだけでした。
【4】行方知レズ
他のバンドと比べてダントツでマイナーですが、今でも大好きなバンドです。
スカ・ブルース・ガレージ等に影響を受けたサウンドに、フランス映画のような雰囲気のある日本語歌詞とビジュアルイメージが特徴。
ゴリゴリとした男くさい衝動に満ちたロックンロールは、初期ミッシェルにも通じるものがある気がします。
ヒット曲も代表曲もないけど、リリースされてる音源は全て名盤。
4th「月が昇ってから月が落ちるまで」、5th「モントレイユ」はapple musicでも配信されてるのでぜひ。
さいごに。青春パンクとメロコアブームを振り返って
ファン層はほぼかぶっていて、2つはある意味一括りのブームでした。
だから同じ時期に盛り上がって、同じ時期に下火になったんだと思います。
当時はプロアマ問わず、本当にブルハっぽい青春パンクバンドかハイスタっぽいメロコアバンドがドッと増えました。
インディーズかメジャーで言うとインディーズ寄りだけど、メジャーに行ったバンドもいるのでどっちとも言えないかと。
ガガガSPとかブラフマンとか。
ただ、「テレビと距離を置いていた」というのは一つの傾向としてありました。
ハイスタやモンパチもテレビに出ないで人気に火がついて、人気が出てからもテレビには出ないスタンスをとってました。
当時は各局人気の音楽番組を持っていた時期なので、これは大きな特徴だったと思います。
なので、自分の中で「青春パンク・メロコアブーム」はテレビとは別の場所で起こっていたブームという印象があります。
(中にはちらほらテレビに出てるバンドもいましたが)
Wikiの「青春パンク」で出てくるFLOWやロードオブメジャーは大々的にテレビで売れてる印象もあって、全く「青春パンク」というイメージは持ってなかったです。
もっと言うとそもそもパンクバンドという印象もなかったですが。
「絶頂期を迎えた」と書かれてる「ブギージャック」に関しては初耳ですね…。
でも、最初にも書いたようにジャンルの定義は大して重要じゃないので。
そんな風に感じてたリスナーもいたんだと思ってもらえたらと思います。
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