前回、ブルハの解散について記事を書いた。
その時「河ちゃんは今何やってるんだろう?」と調べてみたら、結構前から「河口純之助&タイムトラベラーズ」というバンドをやっていたようだ。

で、youtubeに上がってた曲を聴いてみたら、思った以上に良くて。
全く期待しないで見たのにかなりグッと来るものがあった。

ブルハ時代の活動から簡単に振り返りつつ、曲の感想を書いたので、まだ聴いたことない人はぜひ聴いてみて欲しい。

元ブルーハーツ ベーシスト、河口純之助

ブルハの詳細は省くとして、河口純之助は元ブルーハーツのメンバーで、担当はベース。

ブルハの楽曲はほぼヒロトかマーシー作だが、河ちゃん作の曲もある。

河口純之介 作詞作曲の曲
(「PAN」収録曲は後述)
「HAPPY BIRTHDAY」
「風船爆弾」
「真夜中のテレフォン」(リードボーカル)
「宝もの」(リードボーカル)
「シンデレラ(灰の中で)」
「心の救急車」
「インスピレーション」

一般的に有名な曲はないものの、良曲揃いで自分も好きな曲ばかりだ。
一番よく聴いてるのは「シンデレラ」。

この曲はゆっくりとした河ちゃんのボーカルで始まって、ヒロトの歌でガッと曲のテンションが上がる。
Aメロなしでサビから入り、サビの歌詞は曲名のリフレイン。

この構成は「リンダリンダ」と似ていて、自分の中で「シンデレラ」は河ちゃん版の「リンダリンダ」みたいだと思っている。

河ちゃんが宗教団体「幸福の科学」に出会ったとされるのは1990年。
それ以降の「心の救急車、インスピレーション、宝もの」 はさほど違和感はないが、確かに変化の兆しを感じる。

「インスピレーション」の歌詞「神様はきっと僕の答えと同じはずだね」の「神」は具体性を帯びていて、ヒロトがここだけ歌ってないのもうなづける。

ブルハのラストアルバムは「PAN」。
解散後に、大人の事情で作られたこのアルバムはメンバーそれぞれが作詞作曲とボーカルを分担している。

全13曲中、河ちゃん作は次の4曲。

河口純之介 作詞作曲の曲
(「PAN」収録曲)
「幸福の生産者」
「Good Friend(愛の味方)」
「ひとときの夢」
「ありがとさん」

「幸福の生産者」「Good Friend」に至ってはもはや開き直ってるかのように、宗教色全開の内容となっている。

「実在する神」を讃えた厳かなバラードは「もうブルーハーツの河口純之助はいなくなったんだな」と否応なく実感させるものだった。

この4曲に関しては正直良いと思わないし、ほとんど聴いたこともない。

ちなみに、初めて聴いたのは中学の頃で、宗教云々の予備知識は一切なかった。
そもそもリアルタイム世代ではないので、全アルバム、リリース順すら知らずに聴いている。

なので、「これだけなんか変なアルバムだな。河ちゃんの曲もイマイチだな」というのは純粋に音楽としての感想になる。

ブルーハーツ解散後の活動

「解散後の活動」と書いたものの、自分の河ちゃんの記憶と印象はほぼ「PAN」で止まっている。

その後は、バンドのプロデュースをしているという話を聞いた程度。

実際、一度だけ何かのライブ終わりに、「元ブルーハーツ河口純之助プロデュース」というフライヤーを見かけたことがある。
(バンド名は確か「ザ・ハイライツ」だった)

あとは、数年前に総裁の息子、大川宏洋と一緒に曲を出したり、幸福実現党で選挙に出て落選したとかは耳にした。

河ちゃんがベースを弾いて参加したのは、大川宏洋のデビュー曲「Revolution」。

これも1回だけ興味本位で聴いたけど、音楽としてアレコレ言う代物ではなく。
ほとんど残っていない河ちゃんへの関心をより薄くしただけだった。

前フリが長くなったが、自分が最近河ちゃんのバンドを聴いたのはこんな過程を経てのことだった。

記事冒頭で書いた「全く期待せず聴いた」のは、そんな背景があったからだ。

河ちゃんの新バンド、「河口純之助&タイムトラベラーズ」を聴いて

新バンドと言っても古いのだと2009年の動画もあるので、だいぶ前からやっていたようだ。
河ちゃんはボーカルで、楽器はベースではなく、ギターを担当している。

最初に聴いたのはたまたま最初に目に入った「愛の花」。
公開年は2014年。

聴いてすぐ不意打ちをくらった。
てっきり「幸福の生産者」を濃くしたようなまったりした曲かと予想していた。

が、映像がタイトルから明転した瞬間、軽快なロックサウンドが始まる。

というか、イントロのこの感じ、
ギターのジャーンという音が鳴って、助走をつけるようなドラムが4回、
そして、歌い出しの「チューチュッチュルー」という歌詞。

もうこれは思い切りブルーハーツの「キスしてほしい」で。

聴いてく内に、本当にバンド名を体現してるかのように、意識が巻き戻された。

00:40秒頃のジャンプする姿に、数え切れないほど見返したライブビデオの河ちゃんの姿が蘇る。

その映像では着地に失敗して盛大にコケていて。
この動画でもちょっとフラついてるところが「らしい」。

そんな微笑ましさやら懐かしさやら、普通に「良い曲だな」という感動やらで胸がジーンとする。

続けて01:00頃、アップで笑みを浮かべる河ちゃん。
その表情を見て、なんとも言えない、何か「あぁ良かったな」という気持ちになった。

今こんな風に歌えてるのなら、解散含め、どんな過去も全部それで良かったんだと思えた。

もういなくなってしまったブルーハーツの河口純之助がまた戻ってきた、というより、実はいなくなってなかったんだと思えた。

相変わらず歌詞の内容は心底共鳴できないかもしれない。
それに「良い曲」とは言っても商業的にどうこういうレベルでもないだろう。

でもそんなことは関係なく。

「PAN」にヒロトの「歩く花」と並んでこの曲が入っていたら。
この曲をヒロトの声とマーシーのギターと梶くんのドラムで歌ったら。

そんな夢みたいなイメージが膨らんだ。

ヒロトとマーシーの陰に隠れているが、河ちゃんも間違いなく「シンプルで熱いブルハサウンド」の一端を担っていたんだということを再認識させられた。

同じく、2014年にアップされてる「AIDAYO」も良い感じだ。

しつこいけど、聴いてると「もしこれをヒロトが歌ったら」と想像してしまう。
想像するだけで、なんだか込み上げてくるものがある。

自分は今まで一度も「ブルーハーツに復活して欲しい」なんて思ったことがなかった。

ハイロウズ、クロマニヨンズとずっと新しいバンド、新しい曲に満足していて、その方がファンとしても望ましい在り方だと感じていた。

でも河ちゃんのこの動画を見て「また4人でロックしてくれたら」と、少しだけ思わされた。

さいごに

動画の再生回数的にもまだ知らないという元ファンもきっと多いだろう。

自分のように「PANの河ちゃん」で止まってる人がいたら、この動画の河ちゃんの姿にアップデートしてもらえたらと思う。

ついでにいくつか関連動画を回っていたら、ブルハ時代のエピソードを語ってるものがあった。

ヒロトとマーシーが今、ブルハ時代を回顧することは考えにくいが、河ちゃんと梶くんはチラホラ当時のエピソードに触れている。
(梶くんも書籍「私たちが熱狂した 80年代ジャパニーズロック(2015)」やネット記事で当時のことを語っている)

こういうのって興味あるファンは少なくないだろうし、かなり貴重な「証言」だと思うんだけど、なかなか人のアンテナに届きにくいようで。
そういう面も含めて河ちゃんの動向は今後も時々チェックしていきたいと思う。

【2019.04.02追記】
先月公開された、河ちゃんが「ビートルズ」について語ってる動画。

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