2019年5月23日に新宿ロフトでHave a Nice Day!とTENDOUJIのツーマンが行われた。
そのハバナイのライブの最中に負傷した方がいたという。

自分は去年の今頃ハバナイを知ってライブに行き始め、この日のライブも現場にいた。
いたのに伝聞調なのは、ライブ中に異変らしきものはなかったからで、他のほとんどの観客も気づかなかったんじゃないかと思う。

ライブ終了後、vocal浅見北斗のツイッターで初めてケガ人が出たことを知った。
さらに翌日のツイートで「今後は危険行為の禁止を徹底する」と告げられることになる。

「ハバナイのモッシュピットが変わる」

それはきっとファンにとってもバンドにとっても簡単には受け入れがたいことで。

まだファン歴の浅い自分でも結構ズシンとくるものがあった。
そのあと何か書きたい気持ちに駆られて、改めてセルフドキュメンタリー作品やネット記事を見返していた。

でも、色々観て読んで考えるほどに言葉が散っていく感覚になって。
自分が書けることは何もないような気分になってきたので諦めた。

この件についてはまだ分からないことも多いし、今後また情報が発信されるかもしれない。

個人的な感想は控えめにしつつ、ここでは事故の概要や「ハバナイとモッシュピットの関係」についてまとめている。

当日の事故の内容と今後のライブ方針の変更について

ハバナイやライブをよく知らない人向けに補足すると、ロックバンドのライブは「観客同士がぶつかり合うモッシュ」や「人の波に乗るダイブ、クラウドサーフ」が醍醐味。

そんなモッシュやダイブが起こるエリアを「モッシュピット」と言い、ハバナイは激しいモッシュピットを生むのを特徴としている。

ライブの様子

実際に参加するのは4回目で、ライブ動画は数えきれないほど観ている。
この日はいつも以上に荒れてるわけではなかったし、どこかでアクシデントが起こってる気配もなかった。

というか、いつも以上に最高の空間だと実感させられたし、それだけに同じ場所で不幸が起こっていたという事実に複雑な気分になった。

事故の概要

ライブ終了後のツイート。
この時はまだライブ方針に変更を迫られるほどではないのかなという感じだった。

今後の方針

翌日オフィシャルアカウントから次の内容がツイートされる。

具体的な禁止事項や今後どう変わるかは分からない。
そもそも詳細が分からないので、こういった措置が妥当かどうかも判断しようがない。

ただ、浅見がそう決断せざる負えないほど「よっぽどのことが起こったんだな」と思うばかり。
不謹慎かもしれないけど、最悪な事態は免れたことにホッとする部分もあった。

(タイムリーな世代じゃないけど、ラフィンノーズの死亡事故がよぎった。もしそうなってたら…と想像すると、今回の慎重な決断に何かいう気持ちにはなれない)

ハバナイにとってモッシュピットとは

ハバナイを知らないと「危険行為の禁止」の何が悪いのか全然伝わらないと思う。

一言で言ってしまうと、ハバナイにとってモッシュピットは「アイデンティティの核」と言っていいようなもの。
インタビュー内容からもそれは伝わってくる。

(浅見)まぁきっかけとしてね、俺の歌があってライブステージがあるんだけど、でも本質的なものはフロアにあるっていうのがハバナイの基本の考え方だから。

「ハバナイの本質はフロアにある」

「これ」とはもちろんモッシュピットのこと。バンドも客もそれだけを信じている。音楽はピットのための発火装置にすぎず、演奏内容云々もほとんど二の次。事実、BPMが上がろうが下がろうが、途中に多少メロウな曲が挟まろうが、一度火のついたピットはタガが外れたまま無我夢中の熱狂を保っているのだ。これはもう、ハバナイだけの楽しみ方、独自のカルチャーと言ってもいい。

「音楽はモッシュピットのための発火装置にすぎない」

さらに掘り下げると、そこからは
「ロックはそもそもアウトサイダーのための音楽、現実へのカウンターだと思ってる」
「欲望や衝動がぶつかり合う瞬間、混沌が美しい」
という浅見の考えや感性が見えてくる。

ただのバカ騒ぎ以外の、ハバナイとモッシュピットの深い結びつきが伝わってくる。

代表曲「blood on the moshpit」や「ゾンビパーティー」もモッシュピットがモチーフになっており、セルフドキュメンタリー映画のタイトルも「モッシュピット」。

恵比寿リキッドの天井から撮影したモッシュピットが作品のハイライトとなっている。

自分の中で「愛こそすべて」のMVからも「ハバナイの本質はモッシュピット」を感じた。
MVはフロアで撮影された写真で構成されているのだが、観客達の絵はカラーなのに対し、最後のメンバー達はモノクロ。

自分達じゃなく、モッシュピット・観客を主役にしたMVなんて普通はないだろう。

そして、そんなモッシュピットは一般的にはNGとされる行為も一切規制せず、むしろ扇情してきたからこそ生まれていたものだ。

「危険行為の禁止の徹底」はこれまでのスタンスを180度変えるようなもので、ハバナイのアイデンティティを根っこから揺るがす事態と言っても大げさではない。

実際、体感として大きな変化を招くようなものか、実はそれほどでもないかはまだ分からない。

でも、「変わって欲しくなかった」と残念に思うファンがいるのはもう仕方ないし、自分もその一人だ。

もちろん、浅見北斗はじめ、メンバー達も本意ではないだろう。

数ヶ月前、浅見がラジオ番組に出演した際に
「(今後会場の規模が大きくなって)ステージが変わったとしても今のモッシュピットは変わらない。」
ハッキリとそう言っていたのが印象的だった。

さいごに

別の記事で自分は「(ハバナイのモッシュピットは)それほど心配するほどではない」と書いている。
「ハバナイのライブはアヤうい、事故が起こってもおかしくない」とは思っていた。

でも、そう書いたのはそれ以上に「そんな空間を許容し、慣れている常連が多いから大丈夫そう」と感じたからだった。

もし急激に新規ファンが増えるようなことがあったら維持は難しいかもしれないし、「正論」をいう人間も増えてややこしくなりそうとも思った。

でも、(良くも悪くも)昨年テレビの露出が増えたタイミングでもライブに大きな変化はなかった。

このまま少しずつ拡大していけば、このモッシュピットのまま、いつか本当に巨大なフロアを埋めることができるんじゃないか。

そんなことを頭の片隅で思っていたけど、、
コトが起こってしまったからには、万全を期す以外の選択肢は難しいだろう。

またこれからのハバナイが見せてくれる音楽と風景を楽しみにしたい。
(と、自分に言い聞かせている)