ジッタリンジンとGO!GO!7188。
この2組の人気バンドはある曲が発端となり、長い間疎遠になるという「事件」がありました。

そのどちらのファンの間でも有名な「ジェットにんぢん」歌詞問題について紹介します。

ジッタ×GO!GO!7188の「ジェットにんぢん」歌詞問題とは

JITTERIN’JINN

(左から) 入江美由紀/drum、春川玲子/vocal、破矢ジンタ/guitar
[出典] プロフィール| ジッタリン・ジン | 日本コロムビアオフィシャルサイト

ジッタリンジンは1989年、オーディション番組「三宅裕司のいかすバンド天国(通称イカ天)」がキッカケでメジャーデビューしたロックバンド。

デビュー後すぐに大ヒットした「プレゼント、夏祭り」は誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。

1990年代半ばくらいからはインディーズに活動の拠点を移し、2011年からは実質的に活動休止状態になっています。

GO!GO!7188

(左から) アッコ/base,vocal、ユウ/vocal,guitar/、ターキー/drum
[出典] GO!GO!7188、ライヴ音源&未発表音源を収録したアルバムを急遽リリース|rockinon.com

GO!GO!7188は2000年にメジャーデビューした、スリーピースロックバンド。
「こいのうた」「浮舟」など多くの名曲を発表し、こちらも揺るがない人気を獲得したバンドだと思います。

しかし、2012年に惜しまれつつ解散。
以降は個々で音楽活動を続けています。

2組に「因縁」が生まれたキッカケ

ジッタとGOGO7188はバンド構成や音楽性に共通点があるし、ファン層も結構近いと思います。
(今気づきましたが、ビジュアルもかなり似てる。)

自分もどちらもファンでずっと聴き続けてます。

が、両者は10年近くも疎遠になっていました。

その発端となったのがGOGO7188が2000年にリリースした2rdシングル「ジェットにんぢん」です。

この曲はベース、アッコのバイト先の店長が『ジッタリンジン』を『ジェットにんぢん』と聞き間違えたことが元ネタで、アマチュア時代に作られたとのこと。

何が問題かというと、歌詞の内容。
全体的にはタイトル通りナンセンスな内容なんですが、最後にジッタリンジンの名前が出てきます。

GO!GO!7188 「ジェットにんぢん」 | J-Lyric.net

ジェットにんぢん 空とぶにんぢん
きっと誰かの聞き間違い
ジェットにんぢん 昔はやった
歌手の名前は ジッタリン・ジン

「昔流行った歌手の名前はジッタリン・ジン」・・・

2000年なので、ジッタは普通に活動中です。
それをデビューしたての新人が「昔流行った〜」と過去の人扱いするなんて単純に失礼な話で。

当時、これを聴いた自分は「よくジッタはこんな歌詞を許可したな」と思いました。
ジッタのオフィシャルHPの掲示板でも「感じ悪い」みたいなファンのコメントを見かけたし、まぁ普通に考えてあまり気分は良くないですよね。

(世間的には確かに「昔流行ったバンド」だし、ファンも本気でカチンときてたワケではないと思います。)

一応、GOGO7188側はリリース前に許可をとったつもりだったそうです。
が、ジッタ側は許可したつもりはない、という行き違いがリリース後に発覚。

そして、その溝を解消するキッカケがないまま、疎遠になってしまったというのがこの「事件」のあらましです。

そもそも根っこにある問題とは

一見スタッフの手続き上のミスのようですが、根本には別の問題もあるように思います。

例えば、ジッタと対バンしたモンパチの歌詞にも「ブルーハーツ」が出てきます。

モンゴル800 「Song for you」 | J-Lyric.net

please guy’s don’t sing fuckin’ government song
Let’s sing a song of THE BLUE HEARTS

「政府のクソ喰らえな歌なんか歌わないで ブルーハーツの歌を歌おうよ。」

この歌詞だったら仮に許諾の問題があったとしても、遺恨は残さないでしょう。
歌詞から親愛の情やリスペクトが込められてるのが伝わるからです。

他にも歌詞にアーティストの名前が出てくる場合、そのアーティストへの想いを感じることが多いです。

それに対して、「ジェットにんぢん」の場合は「昔流行った歌手の名前〜」。
繰り返すと、この時ジッタは活動中だったので、ファンだったらこういう表現はしないはずです。

実際、自分は正に2000年からジッタの新譜を聴いたりライブに行き始めてるので、「昔のバンド」という感覚ではなかったです。

それほど思い入れがないのに、歌詞にバンド名を使ったこと。
そこに、そもそも難があったような気がします。

(以前、水曜日のカンパネラがヒカシューの名前を曲に使って問題になった時も、これと同じことを別記事で書いてます。)

「ジェットにんぢん」歌詞問題のてん末

最終的には、10年の時を経て共通のスタッフを通じて和解。
2009年のジッタの活動休止前最後のツアーで6回対バンしています。

GOGO7188のスタッフブログにその対バンの事が書かれてます。

10年前の「ジェットにんぢん」の歌詞問題(バンド名の使用の許諾に関しての行き違い)があり、
バンド間にどちらも望んでいないのに溝が出来てしまい…
今回は10年を経て、その溝を埋めての対バンですからね!!
ずっと対バンをやりたくてもできなかったジッタリン・ジンと
2009年秋にやっと同じステージ立てたわけです!!

GOGO7188は2012年に解散しているので、双方のファンとしても、お互い活動中に和解できて良かったなと思います。

そして、この和解後にリリースされた「ラストライブ オブ ゴー!ゴー!」(2012)に再録されてる「ジェットにんぢん2010」では歌詞が変更。

「昔流行った歌手の名前は ジッタリンジン」
から
「10年越しの夢の対バン ジッタリンジン」
になってます。

↓そのライブバージョンで、2:50辺りで観客と叫んでます。
この動画は何度も鳥肌立ちましたね。

ちなみに、2011年にリリースされたGOGO7188のトリビュートアルバム「GO!GO! A GO!GO!」では、bloodthirsty butchersが「ジェットにんぢん」をカバーしていて、こちらも該当歌詞は丸々削除されてます。

さいごに

GOGO7188の「ジェットにんぢん」歌詞問題についてでした。
アマチュアからデビューしたての頃はGOGO7188に限らず色々あるもので。

ジッタも「プレゼント」の歌詞「キリンが逆立ちしたピアス」の部分に最初は差別用語が入ってたのを「キリン」に差し替えたという話は有名。
ブルハの1st収録の「終わらない歌」もぼんやりゴマかしてるけど放送禁止用語が含まれてます。

「ジェットにんぢん」と同時期だと、のちにジッタと対バンするガガガSPがメジャーデビュー前に出した「尾崎豊」の方がだいぶヒドい。
失礼云々じゃなく、ド直球に亡くなった人間を貶してます。

これは今さら書くのもどうかと思ったんですが、今確認したら普通にapple musicで配信されてたので。
それにもビックリしましたが。

「ジェットにんぢん」もまだキャリアが浅いゆえに起こってしまったちょっとした失敗という感じだと思います。

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