
2015年に結成した4人組アイドルグループ、フィロソフィーのダンス。
メンバー【奥津マリリ・佐藤まりあ・日向ハル・十束おとは】の個性が際立つ歌声とキャラが魅力的でー、
なんて説明はもういらないくらい人気も知名度も上がってきてます。
自分も昨年(2018)ハマって、この間ライブも初めて観られたので、いくつかフィロのスについての所感をまとめたいと思います。
- フィロのスに感じる「ふぇのたす」の遺伝子
- ハイクオリティで個性的なボーカル・楽曲・歌詞
- 20年後も楽しみなアイドル性
一応「入門者向けの紹介記事」を意識しつつ、特に満遍なく基本情報を押さえた内容にはなってないです。
「マイベスト5曲」は注目ポイントと合わせて挙げていきます。
フィロソフィーのダンスの注目ポイント① フィロのスに感じる「ふぇのたす」の遺伝子
いきなり別ユニットの話題でアレですが、「フィロのス」ファンにはこの「背景」も知って欲しい。
「ふぇのたす」はフィロのス作詞担当のヤマモトショウが所属していた3人組エレクトロポップユニット。
- みこ … ボーカル
- ヤマモトショウ …ギター・シンセサイザー
- 澤”sweets”ミキヒコ …デジタルパーカッション
2013年にデビューし順調にブレイクしそうだったんですが、2015年5月にメンバーの澤”sweets”ミキヒコが急死し、8月に解散します。
自分は2015年前半にファンになった直後にこの訃報と解散を知らされます。
100万回再生を超える代表曲「今夜がおわらない」。左から、澤”sweets”ミキヒコ・みこ・ヤマモトショウ
ふぇのたすはもう打ち上げに成功して大気圏を抜けた宇宙船みたいな状況でした。
それだけにあまりに突然で不条理な空中分解がすごく残念で。
その解散と同じ頃、2015年7月に結成されたのがフィロソフィーのダンスです。
ヤマモトショウはふぇのたすでは作曲も手がけ、フィロのスの一部の曲も作ってます。
「ソバージュ・イマージュ」はヤマモトショウが提供していて、フィロのスの中で最も「ふぇのたす」らしいシンセポップ。
そして、歌い出しは「みこ」と声質が近いアニメ声の十束おとは。
あえて寄せてるのか、このおとはすの声は本当に「みこ」にしか聴こえません。
この曲を初めて聴いたときは「ふぇのたす」がブワっと蘇ってきて鳥肌が立ちました。
なんとなく、ふぇのたすと繋がってるような、ふぇのたすが報われたような。
ふぇのたすファンとしては、おとはすにはそんな特別な存在意義を感じてたりします。
フィロソフィーのダンスの注目ポイント②ハイクオリティで個性的なボーカル・楽曲・歌詞
音楽性とメンバー・制作陣について。
フィロのスの音楽的な特徴をまとめると、次の3つ。
- キャラクターは異なりつつ一体感のあるボーカル
- 作・編曲家、宮野弦士(げんと)が手がける「コンテンポラリーなファンク、R&B」を基調とした楽曲
- 東大文学部出身のヤマモトショウが担当する哲学的なメッセージを背景にした歌詞
プロデューサーはウルフルズ、ナンバガ、相対性理論などを世に送り出した加茂啓太郎です。
それぞれキャラクターが違うボーカル
144cmの体格から発してるとは思えないパワフルな日向ハル(赤)。
メロウな色気が漂う奥津マリリ(青)。
柔らかく清純な響きを持つ佐藤まりあ(ピンク)。
アニメチックでアクセントとなる十束おとは(黄色)。
これだけ性格の違うボーカルで、これだけ一体感が生まれるって、初めから予測してたんだろうか?としみじみ思います。
(当初は日向ハル・奥津マリリの2人がメインという感じだったようですが)
正直、初期のステージを見た時にはパワーバランスやカラーの違いに「引っかかり」を感じる部分もありました。
でも、徐々に確実に進化して、個性は際立ったまま、凄く一体感が出てきた。
ライブで生で聴いてもすごいマッチしていて、全員基本的な歌唱力が高いなと実感しました。
マイベスト二曲目は「ダンス・ファウンダー」。
人気的にもコンセプト的にも一番の代表曲をあげるとするとこの曲だと思います。
左から、十束おとは・日向ハル・奥津マリリ・佐藤まりあ。
「Funky but Chic(ファンキー・バット・シック)」をテーマとした楽曲
元々R&Bやソウルは好きなので、宮野弦士氏が手がける全体的な音楽性はもちろんタイプ。
でも個人的に珍しいパターンなんですが、中には「ボール半個分ストライクゾーンから外れてる」と感じる曲も。
それはおそらく「AOR」が苦手なのと関係ありそうです。
自分の中の「AOR」を一言で表すと「上品なロック」。
レガシーなファンクやR&Bだとそんなことないんですが、「コンテンポラリー(現代的)」なテイストだと曲によってAORを感じるような気がします。
ただ、逆に「外れてそうだけどしっかりストライクゾーンに入ってる」という曲もあって、「ヒューリスティック・シティ」はそんな絶妙なラインで好きな曲です。
MVも一番好きな曲で、哀愁を漂わせるメンバーの表情に引き込まれます。
もう1曲、「ライブ・ライフ」。
この曲は2018年アイドル楽曲大賞の「インディーズ/地方アイドル楽曲部門」で一位に選ばれてます。
自分の中でも昨年聴いたアイドルソングの中で1位は「ライブ・ライフ」でした。
フィロのスの音楽的背景を知りたい方はapple musicの宮野弦士氏のプレイリストやブログをチェックしてみて下さい。
全然「哲学」っぽくない哲学的歌詞
ヤマモトショウ氏が担当する歌詞は哲学的なメッセージが元になっています。
面白いと思うのが、パッと聴いて全然「哲学っぽく」感じないこと。
プロデューサーの加茂啓太郎氏が携わった相対性理論はただのナンセンスな歌詞だったんですが、CDショップとかでよく「哲学的歌詞」と形容されてました。
対して、東大文学部出身がガチで哲学してるフィロのスの歌詞は哲学っぽさゼロ。
「夏のクオリア」の「クオリア」も「エポケー・チャンス」の「エポケー」も難解な学術用語なのに、ただポップで耳障りのいい言葉になっている。
このギャップとセンスが良いなと思います。
歌詞の哲学的背景はヤマモトショウ氏のnoteで解説されてます。
フィロソフィーのダンス『エクセルシオール』作詞家による全曲解説
この解説はなかなか難しいかもしれないけど、他にも色々興味深い記事を書かれてます。
フィロソフィーのダンスの注目ポイント③20年後が楽しみなアイドル性
広いアイドルシーンを見渡した中で最もフィロのスの「オリジナリティ」を感じたのはこの点でした。
アイドルと言うと「期間限定・卒業前提」というイメージも大きいです。
そんな中、フィロのスはインタビューでこう語ってます。
――番組の中では「目指してるのは国民的エンターテイナー」とおっしゃっています。目指してるんですか???
日向:一応そうではありますけど、もともと「嵐さんみたいになりたい」と言ってきたので、それはずっと変わらず自分の中にあります。
――ハルさんは「嵐」さんとおっしゃいましたが、他の皆さんは?
佐藤:私も嵐さんだったりSMAPさんだったり…。なぜか男性のアイドルさんはテレビに定着しますよね。
日向:寿命が長いよね。
佐藤:そう。でも、女性のアイドルさんはあまりそういう例がないような気がしているので、もしも私たちがそのポジションに入れたら、って。
さらっと「嵐やSMAPみたいに」と言ってますが、これ読んでて結構インパクトありました。
以前、あるアイドルが「SMAPの中居さんみたいになりたい」とコメントしたら、芸人のクッキーに「お前ごときが」と激怒されてたことがあって(言うまでもなく冗談で)。
でも、女性アイドルにとってそれくらいSMAPや嵐は遠い存在。
それをサラッと口に出して、インタビュアーも普通に受け入れて話が進んでいく。
なんだかそこにちょっとした異様さと凄みを感じました。
記事中で取り上げられてるバラエティ「フィロのス亭」も面白い(Tverでも配信中)。
特別インパクトある企画じゃなくても、自然体な4人のやり取りだけで番組が成立してるし、ずっと観てられます。
この前初めて生で観たライブも最高でした。
曲の良さもさることながら、息を切らさず終始笑顔でライブを完遂してるアイドル根性にも圧倒されて。
(普段ロックのライブが多いので、笑顔で歌い続けてる姿がやたら新鮮だった)
四人が揃った時のビジュアルだけでもオーラが滲み出てきたし、音楽だけでなく、今後まだまだ活動の幅も広がっていくでしょう。
「20年後30年後、本当にSMAPみたいになれるんじゃないか・なって欲しい」と期待させられます。
と言うわけで、最後の一曲は自分の中でSMAPの「オレンジ」を感じた曲を。
アルバム「エクセルシオール」収録の「スピーチ」。
さいごに
まだ一年程ですが、フィロソフィーのダンスを観て聴いて、印象的だったポイントをまとめてみました。
メンバー1人1人に触れられてないんですが、でも「メンバーそれぞれが」という以上にグループとして魅力的なアイドルだと思います。
「ベスト・フォー」と言う曲名通り「最高の4人。四人揃った姿が最高」。
さいごにマイベストのまとめ。
全曲、作詞はヤマモトショウ、編曲は宮野弦士です。
- 「ソバージュ・イマージュ(ヤマモトショウ作曲)」
- 「ダンス・ファウンダー(宮野弦士作曲)」
- 「ヒューリスティック・シティ(宮野弦士作曲)」
- 「ライブ・ライフ(宮野弦士作曲)」
- 「スピーチ(日景秀徳作曲)」
「フィロのス=宮野弦士」と言うイメージが大きいですが、意外とそれ以外の作曲家の曲も多く良曲揃いです。
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