あいみょんの音楽は「90年代J-POPっぽい」という声を見かけます。
自分も「マリーゴールド・今夜このまま・ハルノヒ」辺りからすごく「90年代」を感じます。

でも、その「90年代らしさ」とは何か?
あいみょんは具体的にどんなアーティストや曲と近いのか?

当時を知らない人にはピンとこないだろうし、自分自身改めて気になりました。
そこで、「あいみょんに感じる90年代らしさ」について自分の考えをまとめてみました。

(音楽の専門知識はないので、主観的で感覚的な説明になります)

90年代J-POPを象徴してると感じる2つの系統

90年代J-POPといっても「あいみょんっぽい傾向」とそうでもないものがあります。
90年代最大の存在は間違いなく小室哲哉・小室ファミリーですが、あいみょんに「小室」を感じる人は少ないでしょう。

個人的な印象では「あいみょんっぽいJ-POP」に王道の90年代らしさを感じます。
そして、その「王道の90年代らしさ」がギュッと詰まってると思うのが次の2つ。

一つは、小林武史プロデュース系
代表的なアーティストはMr.ChildrenやMy Little Lover。

もう一つは、レコード会社のビーイング系
有名ミュージシャンが多数在籍してますが、ここでイメージしてる代表的なアーティストはZARD・DEEN・WANDSなど。

さらに抽象的な表現になりますが、この2組の音楽性を一言で表すと「いい匂いがする」になります。

90年代J-POPに感じる”いい匂い”とは

この言葉は、岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」の小説版のあとがきに出てくる表現です。

そのあとがきで解説者が、
「良い映画はいい匂いがする。岩井俊二の映画もいい匂いがする」
というようなことを言っていて。

この表現はなんとなく伝わるものがあるし、自分の中で90年代J-POPからも同じような印象を受けます。
(もしかしたら解説者の意図とはズレてるかもしれませんが)

ちょっと曖昧すぎるので補足すると、

  • 歌詞もメロディも情緒や詩情に富んでいる(でも、80年代以前ほど濃くなく、適度にアッサリしている)
  • 歌詞もメロディも性別や世代を超えて届く普遍性がある
  • 強いインパクトや個性よりも柔らかい質感と素朴さがある

こういった特徴が「いい匂い」の成分のように思います。

小林武史・ビーイング系からはこの「いい匂い」がするし、あいみょんがルーツとして名前をあげるスピッツや浜田省吾もそう。
他にも同じ匂いがするアーティスト、曲はたくさんあり、それが90年代J-POPの一つの大きな特徴だと思います。

そして、あいみょんの曲からも「いい匂い」がする。
それがあいみょんに「90年代」を感じさせる要因じゃないかと思います。

(ちなみに、あいみょん自身が小林武史・ビーイング系の名前を出してるのは聞いたことないです。)

あいみょんと同じ”いい匂いがする” 90’sJ-POP 5選

本当はもっと挙げたかったんですが、オフィシャルの音源があまり見当たらなかったので、参考に5曲だけ。
前半3曲が小林プロデュース、後半2曲がビーイング系です。

ここまで90年代で一括りにしてきましたが、細かく言うとあいみょんは90年代中盤、1995年と言うイメージがあります。

90年前半は「情緒性」がやや濃く、後半は薄い。なんとなく一番ちょうどいいのが95年という感じ。
スピッツの「ロビンソン」も1995年です。

「Hello Again~昔からある場所~」(1995) MY LITTLE LOVER

Akkoがボーカルを務め、小林武史もメンバーとして参加していたユニットの3rdシングル。

「90年代J-POP」というと自分の中で1、2を争う代表曲が「Hello Again」です。
「芳香」や「芳醇」といった形容詞がしっくりくるようなイントロが正に90年代という感じ。

この曲を聴くとなんとなく「いい匂い」のニュアンスが伝わるんじゃないでしょうか。

「イノセントワールド(1994)」 Mr.Children

ミスチルの5枚目のシングルで、プロデューサーは小林武史。

他にも「抱きしめたい・over・crossroad」など、この時代のミスチルには90年代らしい素朴さが光る名曲がたくさんあります。

ちなみに、サザンの「真夏の果実・希望の轍」はサザンの中で特に「いい匂い」を感じる曲ですが、この2曲も編曲に小林武史が参加してます。

「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~(1996)」 YEN TOWN BAND

YEN TOWN BANDというのは岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」の劇中バンドの名前。
charaがボーカルを務め、小林武史もメンバーとして演奏しています。

「いい匂い」という表現は「スワロウテイル」小説版のあとがきから借りましたが、映画版で音楽を担当してるのが小林武史。
映像も音楽も「いい匂い」がして、最高にハマってる組み合わせです。

「揺れる想い(1995)」 ZARD

ビーイングを代表するバンドであり、坂井泉水がボーカルを務めるZARDの8枚目のシングル。

ZARDは歌詞もメロディも90年代らしい素朴さに満ちてます。
それなのにこれだけ強烈な魅力を放っているのは、歌唱力や表現力などアーティスト自身の地力があってこそでしょう。

その点も90年代に活躍したミュージシャンやあいみょんに共通してることだと思います。

「このまま君だけを奪い去りたい(1993)」 DEEN

ボーカル池森秀一、キーボード山根公路を中心に1993年に結成されたバンドの1st Single。
他のアーティストと比べると近年の知名度は低いかもしれませんが、「このまま〜」はミリオン超えのヒット曲です。

さっき確認して気づいたんですが、この曲も「揺れる想い」も作曲は織田哲郎なんですね。
織田哲郎というと相川七瀬というイメージしかなかったんですが、今回初めてビーイング系だったのを知りました。

さいごに

曖昧な説明かもしれないけど、あいみょんに90年代を感じる理由についてでした。
個人的に一番のキーパーソンとなるのは小林武史・織田哲郎の2人と言えそうです。

きっと人それぞれ、あいみょんの背景に見える90年代のミュージシャンがいるでしょう。
でも、その曲からは少なからず「いい匂い」がするんじゃないかなと思います。

あいみょんのルーツとなった音楽を聴きたいという人も、吉田拓郎、河島英五、尾崎豊、その他洋楽ミュージシャンにいくのはちょっと難しい気がします。
特に若い人だと。

あいみょんと一回り違う自分も学生の頃、吉田・尾崎にハマってたんですが、周りで聴いてると言う人に会ったことなかったので。

でも、スピッツや小沢健二はじめ、90年代のヒット曲ならきっとすぐ馴染めて気にいるんじゃないかと思います。

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