【未経験からWebデザイナーになるには】Webデザインにセンスは必要か?

【未経験からWebデザイナーになるには】Webデザインにセンスは必要か?

自分は30を超えて実務未経験からWebデザイナーになりました。
その経験をもとに、これから志望してる人の参考になりそうなトピックについて書いていきます。
『【未経験からWebデザイナーになるには】目次』

今回の内容は【Webデザインにセンスは必要か?
これは最初気になるところではないでしょうか。

『Webデザインにセンスは必要ない』について

自分もスクールの無料相談に5校行った際に、全校で『センスは必要ですか?』と聞いてみました。
5校ともカウンセラーの回答は『センスは関係ないです。』でした。

セットで『デザインはロジック・セオリー。』という説明もありました。

その後もデザインに関する参考書・ネット記事などで数えきれない程、このフレーズを見聞きしました。

そもそも『センス』とは何か?

何度も見聞きしましたが、そもそも曖昧な『センス』という言葉自体について説明しているものはあまりなかったです。

改めて、自分なりに考えてみると、ここでのセンスとは
【主観・個性・好み】
と置き換えられます。

一方、ロジックやセオリーは【客観・論理・理論】

また、センスは【元々持っている固有のもの】、ロジック・セオリーは【後から誰でも身につけられるもの】というニュアンスもあります。

まとめると、『センスは必要ない』には
デザインは【自分の主観や好み】ではなく【ロジックやセオリー】で行うもの
そして、そのロジックやセオリーは【元々持っているもの】ではなく【後から身につけられるもの】
という意味が含まれています。

これは本当にその通り。
なので【Webデザインにセンスは必要か?】に対しては、一つには『必要ない』と言えます。

 
ただ、同時に自分はこの答えに対して『センス』の意味を狭めすぎてると感じます。

単純な『主観・好み』というよりは、もっと大きく捉えて『感覚・感性・人格』という意味でのセンスもあります。
(こっちの方が一般的に使われる『センス』に近いかと)

先天的・後天的いずれにしろ、【その人固有のもの】と言えるくらい簡単には変化しない部分もあります。

そして、そういった【センス】もデザインする上で重要だと思います
少なくとも無視したり全否定するべきものではないかなと。

ネット辞書で確認してみると、センスは次のような意味。

物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働き。感覚。また、それが具体的に表現されたもの。

デザインする上で必要ないわけがない位ですね。

それについては一旦置いておいて、ではなぜ『Webデザインにセンスは必要ない』とこれだけ言われるのか理由を考えてみました。

『Webデザインにセンスは必要ない』が氾濫する2つの理由

主に2つの理由が考えられます。

(1) 初心者は好みが前面に出てきてしまうから

デザインを勉強し始めの頃は、デザインに自分の好みが強く出てしまいます。
経験を重ねるごとに、ロジック・セオリー・外部の影響を取り込んで客観性が高まり洗練されていきます。

とある美術専門校のセミナーにいった際、講師の方が話していました。
『特に十代の学生が入学してすぐ作るものは好みの影響が強い。卒業する頃には多くの学生が主観から離れた制作ができるようになる』。

確かに、初心者ほど『好み』や『女性or男性。10代or年配』など属性がわかりやすく、ベテランほど好み・属性が見えにくいです。

初学者の傾向として『センス(好み)が出る』ので、言わば釘をさす目的で多用されるのだと思われます。
『デザインはアートじゃない』というフレーズも同様ですね。

(2) 『必要ない』という答えの方がメリットがあるから

身も蓋もない見方をすると、『後から身につけられるもの=教えられるもの』とした方が『メリットがあるから』とも言えます。
特にスクールや参考書。

聞く方も元々『センスは必要なのかな』と不安に思っていて、『必要ない』という答えを内心求めてます(求めてました)。

だから、答える方も『必要ないです』とアピールします。
そもそも、スクールに相談いって『センスは元々持っているものなので、後から身につきません』というわけもなく。

これだけ売り文句として定着しているのには、そういう理由もあるでしょう。

『2週間でマスター Webデザイン』というよく見る参考書のタイトルも同様。
2週間でマスターするのは不可能だけど、早く簡単に習得したいと読者が思うからそういうタイトルがつけられます。

↓プログラミングでも同じような風潮があるという記事。

重視すべき『センス』もある

『センスも重要』に話を戻して。
『その人が持っている固有の感覚・感性』という意味でのセンスも大事です。

経験を積んでも『その人らしさ』というのは多かれ少なかれ出ます。

『ハイレベルな人は属性が見えにくい』と書きましたが、それでも知ってる人ならその人が作ったものだとわかったりします。
どこがどうとかではなく、雰囲気としか言いようがない部分で。

レイアウト、色の感じ、フォントの置き方。
もっと直接的によく使うあしらいとか。

そしてそれは悪いこととは限りません。
むしろ、それはそれで活かすべきものだと思います。

また、『センスは後天的に磨ける』も正しいですが、最初の段階で持ってる感覚の差も大きいです。
同じ初心者が作ったものでも、見やすいサイトと、見にくいサイトがあります。

後者のデザインで、『これで良し』という人の感覚を改善させるのは簡単ではないです。
『デザインはセオリー』の一言だけでは片付けられません。

要はデザインも運動神経とか他のジャンルと同じで、言わゆる筋のいい人悪い人、伸びやすい人伸びにくい人がいます。

改めて書いてみると当然すぎることでもありますが。
あまりにもデザインに関しては『センスも個性も必要ない。誰でもできるもの』という主張しか目にしないので、一度再確認しておきたいところです。

『デザインスキルは成長が見えにくい』

最後に、『センスも大事』に関係するエピソードを2つ紹介。

『デザインは成長(の見込み)が見えにくいし、時間がかかる』

これは面接での『コーダー志望かデザイナー志望か』という質問の際に実際言われた言葉です。

『デザインもコーディングも理論と知識。でもコーディングの方が教えやすいし、やった分だけ伸びやすい。』
(『だから、30代未経験でデザイナー志望のあなたは厳しい』)

という旨のコメントでした。
一つには『デザイン力を上げること自体時間がかかる』ということですが、『個々人の差が大きい』ということも表しています。

『プログラマとデザイナの境界線』

これは『HTMLとCSSで基礎から学ぶJavaScript』という参考書のコラムのタイトルです。

コラムの中で、『プログマラーにデザインを教えるより、デザイナーにプログラムを教えた方が良い』と言っています。

私の経験から言えば、プログラマにデザインを教えるというのは難しいです。
どちらかといえば、デザイナがプログラムを学んだ方が習得は早いと感じます。
<〜中略〜>
プログラマには元々デザインというものに頓着がないので、このきっかけが見つけられません。
どこからもデザイン指導に入りようがないんですね。

『頓着がある、執着心がある』というのも一つのセンスで凄く大きいです。

デザイナーは、小さい矢印の形一つでアレコレ悩んだりします。
こういう執着心は著者が言われてるように教えたり教わったりするのは難しいところです。

やっていく内に徐々に生まれてくることもありますが、(おそらく)全く執着心の芽のない人もいます。

自分の経験で、その人の気質・適性の影響が大きい順にweb関連の職種を並べると、

ディレクター > デザイナー > プログラマー > コーダー

になるんじゃないかと思います。

(左の方が大変とか右にいくほど楽とかではない。)

さいごに

デザインを勉強し始めたころから何度も聞いた『デザインはセンスじゃない』。
最初は単純に『向き不向きはないんだ』とそのまま受け取ってました。

でも、後々そうでない部分もあるなと感じるようになったので、改めてこの記事で『センス』について思うところをまとめてみました。

センスには両義的な意味があるので難しかったです。
上手く言い表せたかどうか・・・

『センスは必要ない/重要』『後から身につくもの/もともと持っているもの』とか真逆のことを言っているし、わかりづらいかもしれません。

ともあれ、最初に勉強する上ではやはり、
『デザインは【センス=個性・好み】ではなく、【ロジック・セオリー】』
を一番に意識することの方が大事になります。

一定のセオリーや客観性を身につけたら、『自分らしさ』のセンスにも徐々に目を向けていくと良いのではないかと思います。

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