CDジャケットに想うパクリの境界線

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東京五輪のロゴがパクリか否かで話題になっている。
それについては一応デザインの世界の片隅に身を置く身としてそれなりの自論を持っている、と言いたい所だが、特にコレといってない。
(何故ならろくにロゴを作ったことがないから)

自論はないが、その件で『そういえばアレは一体どういう事だったのか』と思い出した事があるので書いてみる。

酷似しているアルバムジャケット

メロディや歌詞がパクリだと指摘される曲は少なくないが、CDジャケットにも似ているものがある。

今まで目にしてきた中で、あまりに似ていて、『パクリなのか、インスパイアというべきなのか、それともただの偶然なのか?』と不思議に思い、なおかつ、ネットなどでその話題を目にするわけでもなく、ますます気になっていた4枚のジャケットがあるので紹介する。

それぞれのCDについては主旨ではないので簡単に。
発売日順で挙げていく。

P-MODEL『big body』/RADIOHEAD『the bends』

まずは一枚目。P-MODEL『big body』(1993年発売/日本)

映画『パプリカ』で『白虎野の娘』を歌っている平沢進さんのバンド P-MODEL。

二枚目はRADIOHEAD『the bends』(1995年発売/イギリス)

おそらくアーティストとしても、ジャケットとしてもこれが一番有名。
漫画『BECK』でもこの表紙はパロディで描かれていた。

んー似ている。
CGっぽい人間が口を半開きにしているイメージも同じだし、赤、黒、白、肌色という配色も同じ。

このジャケットは『big body』を意識して作られたのだろうか?
ただ、例えばトムヨークが平沢進に影響を受けた旨の発言をすれば、カートコバーンの『少年ナイフのファン』並みに広まって耳に入りそうなものなので、そう考えると直接的な関係はないのかとも思う。

Qomolangma Tomato『camouflage』/FOUR TET『Fabriclive 59』

3枚目。
Qomolangma Tomato『camouflage』(2009年発売/日本)

日本のミクスチャー、オルタナティヴ・ロックバンド、チョモランマトマトの『カモフラージュ』。
タコを頭にあしらった女性という奇抜なビジュアルは一度目にしたら記憶に残る。

これはさほど前の2枚と似ているわけではない。

そのリリースから2年後。4枚目。
FOUR TET『Fabriclive 59』 (2011年発売/イギリス)

今度は頭にタコを載せた男性。。

タコのしだれかかりっぷり(?)まで似ていて、さらに男性が口を開けている姿はRADIOHEAD『the bends』にソックリ。
恍惚のような苦悶のようななんとも言えない表情/雰囲気も近い。

FOUR TETに関しては、『the bends』のジャケ写を見たことないというのは考えにくいので、何かしら影響を受けている気がする。

ただ不思議なのは、FOUR TETが日本の有名とはいえないバンド、チョモランマトマトを知っているのか疑問。
仮に知っていてアートワークを気に入ったとしても、あえてここまで似せる理由もわからない。

だとしたら、考えられるのは偶然の一致だけど、たまたま
『そうだ頭にタコ乗せよう!顔の上半分を覆わせて、肩から上の構図で、体は左向き!上半身は裸!』
と作り手がそこまで同じ事思いついてたら余計奇妙な話である。

『黄色い線の内側にお下がりください』とは誰も言ってくれない

改めて4枚並べて見てみると、やはり似ている。4つに共通している点も多い。
先にも挙げたが、【上半身裸/体が左向き/肩から上の構図/目(瞳)は隠す/背景はモノトーン】など。

これは、何かデザイン的な正解がそこにはあって、作り手が同じ結論にたどり着いた結果とも考えられる。
あるいは、全く別の共通の元ネタがあるということもありうる。

本当に偶然の一致ということもあるし(試しに『頭にタコをのせた写真』で検索したら、気分で撮ったというタコを頭にのせた能年玲奈の画像等いくつか出てきた)、かといって偶然だから何でもアリというわけにもいかない。

歌詞で言えば、ボブディラン『スペイン革のブーツ』の日本的翻案然とした太田裕美の『木綿のハンカチーフ』はどう考えても自覚した上のもので、今なら完全にアウトだと思う。

一方、近しさで言えばそれと同等か上回る、ロトチェンコの「あらゆる知についての書籍」を真似たフランツ・フェルディナンドのこのジャケットはオマージュとしてセーフ。

これらを隔てる領域に言葉で明確に線を引けと言われたら難しい。

オリンピックのロゴに関して言えば『あれをパクリと言われたら、キツイなー』と漠然と思う。
個人的にはコンセプトがしっかりあってそれが内実に適っていたら、あれ位のシンプルな幾何学模様ならセーフだろうとは思う。

そういった点で言えば、上記の4枚も『上辺をすくったような薄っぺらさ』もないし、中身(楽曲)と別物のイメージでは全然ないのでセーフと思える。

パクリか否かとは別問題で、オリジナルの強度があると言える。

が、にしても似すぎとも思うし、ロゴに多数の批判があるように、有無を言わさずアウトという人もいるかもしれない。

果たして『big body』/『the bends』/『camouflage』/『Fabriclive 59』はパクリなのか否か?どんな判断がされるのだろう?

だいぶ文脈がふらいついてきて、何が言いたいのかわからなくなってきたが、そもそもこれは、単に以前『似てるなー。たまたまかな?』と疑問に思った、という話で。

今、一種の物作りに携わる身になって改めて考えてみても、その『境界線』の基準はよくわからないというのが正直なところ。
より実感を伴いつつも、『パクリか否かの線引きは難しい』という身も蓋もない感想が浮かぶばかり。

創作の世界でも、駅のホームのように黄色い線を引いて、誰かがアナウンスしてくれたら楽なのにと思う。

最後に。紹介した手前補足。
「big body」は廃盤なので、今買うならこちらの2枚組がお得です。

「P-MODEL」&「big body」